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◆ Nasty ジャネット・ジャクソン『Control』で最高にHardでCoolな2ndシングル、そしてコレオグラファー、ポーラ・アブドゥルとの絆 [Janet Jackson]

                         original 2008.6.9 Upに大幅加筆
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 『コントロール』からの2ndシングル、ジャム&ルイス3曲目のNo1獲得曲は「Nasty」、1986年4月にR&Bで1位になります。さらにHot100でも3位となるビックヒットです。『コントロール』からの1stシングル「What Have You Done For Me Lately」のヒットはフロックでない事が証明されます。そして、アルバム『Control』も見事にHOT-200で1位になります。

 
 この「ナスティ」はかなりストリート感覚の強い曲です。ジャム&ルイスもアルバムを制作する際、SOUND面では女性アーティストを手掛けるという事は意識せず、男性アーティストでも歌えるようなハードな音にしたと述べています。SOUNDもヒップホップ的なループ系。そして、ジャネットも見事にそれに応えたと思います。アルバムの中で、一番ハードな楽曲がこの「Nasty」だと思います。

 『コントロール』は、ジャネットの自立宣言もテーマにしていますが、この楽曲の強烈なビートの中にもその思いは込められています。

 

 私のミドルネームは "ロキシー"(夜明け) 名字は"コントロール"
 ベイビーじゃない ミス・ジャクソンよ
 
 「Nasty」の意味自体、「不快な、乱暴な、失礼な」という意味ですが、ストリート(スラング)
では逆にかっこいい、超Coolみたいな意味をもつ。お嬢様、アイドルのジャネットがあえてこういう言葉を口にすることにより反骨精神をみせた感じです。
 ジャネットの母親・キャサリンは当初、娘の自立宣言的なこのアルバムを快く思っていなかったみたいですが、そのSOUNDを聞いていくとキャサリンも魅了されていったようです。ただエンディングのSlow「Funny How Time Flies」でジャネットがみせたセクシーなあえぎ声のようなものには馴染めなかったと。
 兄、マイケル・ジャクソンも1987年に『BAD』というアルバムを発表するわけですが、育ちのいい人間は直接的な表現に頼ってしまうのかもしれませんね。ガチのヒップホップ系の奴らは何もしなくてもワルのオーラが漂う。
 

 「Nasty」は、『Control』の中でもかなりの重要曲だと思っています。個人的にも、ここまでハードな曲を歌うジャネットに驚いた。ジャネットのボーカルもかなり声をつぶすようなシャウトもみせる。
 ジャム&ルイスのこの曲でのドラムプログラミングも絶妙で最高。ミネアポリス勢御用達のリンドラムを使用していると思われます。歴代のジャム&ルイス作品の中でもこんなヒップホップ感ももったSOUNDもレア。
 さらに以前も紹介しましたが、『Control』は3枚のリミックスアルバムが出ており、そこにはヒット曲のExtendedやRemixバージョンが収録されています。Extendedは6分の尺となり、Jam&lewisが手がけFloor向けのナイスなバージョン。さらにCool Summer Mix part one(7:57)と part two(10:09)
というバージョンがあります。これはAlexander O'nealの「Critisize」のドラム感と、New Jack Swingのビート感を軸に、シンセピアノのJazzyなソロがMixされていて、その辺がCool Summerってとこなんですかね。part twoには次作『Rhythm Nation』にも参加するハープ・アルバートのトランペットがフューチャーされています。この2つのバージョンを収録しているのが下記のリミックスアルバムです。(ただしここには肝心なNastyのExtendedは収録されていない)

Control: the Remixes

Control: the Remixes

  • アーティスト: Jackson, Janet
  • 出版社/メーカー: A&M
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: CD
 
 Cool Summer Mixは、アルバートが参加しているようにボーカル重視というよりフュージョン的なBGM的なリミックスで心地いい。ただStreetを主題にしている楽曲のイメージとは個人的にはあわないけど(爆)。
 
 Musiv Videoのダンスもさらに激しい感じです。『Control』の成功は、ジャネットの才能を開花させ、素晴らしい楽曲とコンセプトでアルバムを手がけたProducerのジャム&ルイスが最大の要因ですが、加えてMusic Videoの素晴らしさもヒットに貢献した。
 ジャネットのMusic Videoの中でDanceも切り離せない要素です。そしてそのダンスの振り付けをしたのがブレイク前のポーラ・アブドゥルだったのです。Video Clipには、ジャネットの仲間的な役で登場もしています。
 アブドゥル(名前からしてユダヤ系)は、元はNBAのビックチーム、ロサンゼルス・レイカーズでチアリーダーをしていた。当時のレイカーズと言えば、マジック・ジョンソンもいた超人気チーム、チアガールたちも注目された。彼女はその中でダンスの実力を発揮し、チアリーダーとして振付も担当し中心になる。

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 そして、そこで一際輝いて踊っていたアブドゥルを、スカウトしたのが他ならぬジャクソンズだったのです。マイケルがジャクソンズとして参加した最後のアルバム『Victory
』からの2ndシングル「Torture」の振付をアブドゥルに依頼するのです。

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 「トーチャー」のMusic Videoはなかなか微妙な所があります。一番残念なのは、リードボーカルのマイケルとジャーメインが参加していない事。もしマイケルが参加していたら、アブドゥルはマイケルの振付もできただろうし、マイケルが気にいれば、マイケル作品の振付も担当したかもしれない。ただ、ジャクソンズ的には、アブドゥルの「トーチャー」での仕事は評価され、ビクトリーツアーでのダンス振付も彼女が任されることになります。
 この出会いによりアブドゥルは本格的に業界入りし、振付の仕事をこなし、このジャネットのMusic Videoの振付を手がけることとなるのです。
 
 余談ですが、1984年時、マイケル率いるジャクソンズは、三男ジャーメインも復帰し前述のビクトリーツアーを行い全米を熱狂させていました。しかし、ステージには兄弟6人全員が集っていませんでした。その原因が、ポーラ・アブドゥルにあると言われています。
 どういう事かというと、アブドゥルをスカウトしたのはジャクソンズとされていますが、間違いなく長男のジャッキーだったと思われます。ジャッキーはレイカーズのファンで、バスケット選手を夢見たほどバスケ好き。そのレイカーズのチアリーダーをしていたアブドゥルに目が行き、(たぶんくどいたのでしょう)不倫関係に陥るのです。その辺は、ラトーヤジャクソンの自伝にも書かれている。
 一説では、ジャッキーとアブドゥルの密会の最中に、ジャッキーの妻のイーニッドが乗り込んできて3人でとんでもない修羅場になり、その中で、ジャッキーが妻の車に足をひかれ全治6ヶ月の骨折という話があります。母の自伝には、ツアー開始直前にジャッキーはバスケットで膝を怪我してしまいとサラッと書かれていますが、真実はどこにあるのか。ただアブドゥルとの不倫関係は事実のよう。最終的にジャッキーは離婚している。ジャッキーは、アブドゥルとの結婚も考えたいたかもしれませんが、逆に彼女が一躍スターになりそれどころではなくなった感じ。

 アブドゥルって1962年生だから、1966年生のジャネットとは4つちがい。もう少し離れているかと思ってた。彼女も、ジャネットの振付をすることになったとき、今回の作品がジャネットにとってどれだけ大切なものかも理解していたよう。兄、マイケルが切り開いた歌とダンスが融合したMusic Videoが曲のヒットを左右するような時代にもなっていた。そして、ジャム&ルイスによる最高の楽曲も揃っている。アブドゥルも自分自身にかかるプレッシャーを強く感じていたようですが、ジャネットのプロジェクトに参加することに最高に興奮もしていたと。ジャネットのDanceはこの後、さらに進化していく事になりますが、ジャネットにダンスの基本をたたき込んだのはアブドゥルだったと思います。

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 『Control』からの最初のシングル「What Have You Done For Me Lately」もアブドゥルの振付で成功した。そして2ndシングル「Nasty」です。Street感覚が充満しているこの曲はStreetが舞台となります。

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 「What Have You ーーー」よりもさらに難しいDanceだと思います。そしてバックはすべて男性陣でオーディションから選ばれた一流ダンサーが集い群舞化もしている
。ジャネットも相当ナーバスになったといいます。
 アブドゥルは、まだ当時、レイカーガールズとかけもちをしていたよう。華やかなチアガールですが、収入という面ではなかなか厳しいものがあるようです。アブドゥルも下積み時代的な感じで、振り付けを考える際、全身が写る鏡がバスルームしかなかったみたいでそこで考えたと。しかし、見事な形をつくりあげる。「ウェスト・サイド物語」のTasteも盛り込まれているのも感じる。
 兄、マイケルもジャネットから「Nasty」のMVを披露されます。マイケルは視聴の途中で泣き出したと言います。「ジャネット、ぼくは君を誇りに思うよ。これはヒット間違いなしだ」と太鼓判を押します。
 そして「Nasty」は、Jam&Lewisによる楽曲と見事に融合したMusic Videoも後押ししてマイケルも言ったようにビックヒットとなるのです。3rdシングル「When I Think Of You」のMusic Videoもアブドゥルが担当します。さらにスケールUpした作品となり、ついにPOPチャートで1位を獲得することになります。

 アブドゥルは、このジャネットとの作品で、MTVのBest Choreography(最優秀振付)を受賞します。1987年時、下記の5作品がノミネートされていますが、アブドゥルはコレオグラファーとして2作品でノミネートされています。アブドゥルの振付はこの後のトレンドも作ったと思います。
(ちなみに1984年から始まったMTV Best Choreographyの初代の受賞者は「スリラー」の振付をしたマイケル・ピータースとマイケル・ジャクソン。マイケル自身も振付に関わり二人のマイケルが受賞しています)

・Nasty - Paula Abdul (by ジャネット・ジャクソン) Win!
・Higher Love  -  Ed Love ( by ステーヴ・ウィンウィッド
・Open Your Heart - Brad Jeffries (by マドンナ
・Walk Like An Egyptian - Wendy Biller (by ザ・バングルス
・When I Think Of You - Paul Abdul and Michael Kidd(by ジャネット・ジャクソン) 
 
 アブドゥルの話が続きますが、彼女はジャネットの成功で振付師として成功を手に入れただけではなくなく、1988年、自身がアーティストとしてデビューすることになります。 

あいつにノックアウト

あいつにノックアウト

  • 出版社/メーカー: ヴァージン・ジャパン
  • 発売日: 1995/06/28
  • メディア: CD


 このアルバムからの1stシングル「Knocked Out」は、当時ヒット連発のLA&BABYFACEが手がけ、アブドゥルが踊りまくるMVもナイスでしたが、POP-41位(R&B-8位)とLAFACE産にしては低調なヒットとなりました。その後、2nd「The Way That You Love Me」もPOP-88位。LAFACEの曲もヒットせず、2曲目もこけたら、ここからの挽回はかなり難しいと思うのですが、3rdの「Straight Up」がメガヒット。HOT100で1位に輝くのです。MVは、映画監督デビュー前のデヴィッド・フィンチャーが手がけ、楽曲もいい。この曲は、1989年、MTVで最優秀振付とベストダンスビデオも受賞するのです。アブドゥルは自身の振付とアーティストとしてのダブル受賞。振付とパフォーマーとして受賞するケースはレアで、マイケルくらいしか思い浮かばない。あと、ジャネットね。
 さらに、アブドゥルの快進撃は続き4th「Forever Your Girl」も1位、5th「Cold Hearted」も1位。6th「
Opposites Attract」(邦題・甘い誘惑)も1位。1枚のアルバムから4曲1位になるという快挙もうみます。
 アルバムも62週かけてチャート1位となり(最も長くかかって1位になるという記録にもなる)、アルバムは700万枚売れ、1989年の年間チャートも3位となるメガヒットアルバムとなるのです。こうして思うのは、やはりポーラ・アブドゥルもMTV時代の申し子だという事。そのダンスと映像で楽曲の魅力をさらにパワーアップさせたと思います。

 1990年1月開催のAmerican Music Awardsでは、ジャネットとポーラ・アブドゥルは同じステージでパフォーマンスも行います。ジャネットは『リズム・ネイション』期に入り、さらにスケールアップしている。主催者側もダンス対決的な演出もした感じ。実際に賞でも争います。アブドゥルは基本、POP/ROCKのカテゴリーで、マドンナをおさえた最優秀女性POP/ROCKアーティストを受賞。ジャネットはR&Bのカテゴリーで「Miss U Much」で最優秀R&Bソングを受賞。(最優秀女性R&Bアーティストとしてはノミネートされず)
 2人が争ったのが、最優秀ダンスアーティスト。ここではボビー・ブラウンも加わり3人で競いますが、ファンが選んだのはポーラ・アブドゥルでした。ジャネットは「Miss U Much」で最優秀ダンス曲を受賞しますが、ここでは師匠が受賞することになります。

 しかし、1990年度のMTVでの最優秀振付の中で、アブドゥルもアニメとダンスを癒合させた革新的なMVOpposites Attract」でノミネートされますが、受賞はジャネットの「Rhythm Nation」となります。ジャネットは、アーティストとしてではなく、振付師としても受賞するのです。YOUTUBEにあがっている『コントロール』期の練習風景では、熱意と愛をもってアブドゥルはダンスを教え、ジャネットも必死にそれに応えているのがわかる。そのジャネットが自分と肩をならべるようなダンサーとして成長したことは、アブドゥルにとっても、自分自身の受賞以上の喜びとなった
のではないでしょうか。この事はあらためて感動しました。ポーラ・アブドゥルもジャネットの成功に大いに貢献した一人だと思います。

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 今回、ジャム&ルイスより、ダンスのポーラ・アブドゥルの語りが多くなりましたが、このチームはついに次の曲「When I Think Of You」でPOPチャートでも1位を獲得するのです。

この本の内容を一部参照しています
マザー―ザ・ジャクソン・ファミリー・ストーリー

マザー―ザ・ジャクソン・ファミリー・ストーリー

  • 出版社/メーカー: フジテレビジョン
  • 発売日: 2021/01/10
  • メディア: 単行本
More Control [Audio Master Plus Series][モア・コントロ-ル-12インチ・スペシャル][Janet Jackson][CD]

More Control [Audio Master Plus Series][モア・コントロ-ル-12インチ・スペシャル][Janet Jackson][CD]

  • アーティスト: Janet Jackson
  • 出版社/メーカー: A&M Records
  • 発売日: 2021/01/10
  • メディア: CD
Control Remixes

Control Remixes

  • アーティスト: Jackson, Janet
  • 出版社/メーカー: Universal Int'l
  • 発売日: 1999/01/12
  • メディア: CD

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