◆ The Pleasure Principle (恋の法則)ジャネット・ジャクソン アーティスト・ジャネットへの進化 フライトタイムのモンテ・モア作 [Janet Jackson]
この曲は、ジャム&ルイス作ではありませんが、ジャム&ルイスのプロダクション → フライトタイムの一員でThe Timeのメンバーでもあるモンテ・モアのProduce曲です。タイムではジミー・ジャムとともにキーボードを担当していました。
モアが曲も書き、シンセ、ドラムプログラミング、ギター、すべてのバックトラックを一人で作っています。ジャム&ルイスは、アシスタント・エンジニアとしてクレジットされている。
アルバム『コントロール』からの6thシングルとなります。1987年8月8日、R&Bチャートで1位を獲得します。前回紹介したジャム&ルイスProduceのアレキサンダー・オニールの「Fake」から首位を奪うことになります。(HOT-100では14位)
1986年3月、アルバム『Control』からの最初のシングル「What Have You Done For Me Lately」はR&BでNo1シングル(POPでも4位)となり最初のビックヒット曲となりました。そしてそこから「Nasty」「When I Think Of You」「Control」「Let's Wait Awhile」と立て続けにシングルヒットが続き、ついに6枚目のシングルカットとなります。ここまでのシングルカットはジャネットやA&M(レコード会社)も予想していなかったのではないでしょうか。そして、この約1年半に渡るシングルヒットでのジャネットの成長というか進化というものはすさまじいものがありました。もともと才能があった彼女でしたが、それがジャム&ルイスにより引き出され見事に開花するのです。
『Control』のここまでの成功とジャネットのブレイクの要因は、Jam&Lewis制作の楽曲の素晴らしさとジャネットのDanceが躍動するMusic Videoの良さが見事に融合した事によると思います。「What Have You Done For Me Lately」はジャネットにとっても初めての本格的なDance Videoだったと思いますが、兄・マイケルにロバと揶揄されたちょっとポッチャリ気味の体もしぼり、ダンスの練習にも日々全力で励んだ。振付を担当したポーラ・アブドゥルの存在も大きかったと思います(上の画像の右端で踊るのがアブドゥル)。
ただこの「What Have You ---」のジャネットはまだまだ洗練されておらず、アーティスティックなオーラもうすい。しかし「Nasty」「When I Think Of You」「Control」と作品を重ねる毎にジャネットのDanceのキレは鋭くなり、オーラも増していった。
1981年に開局したMTV、様々の映像作品が制作され放送されていきます。そんな中、1984年から優秀な作品に賞を贈るMTV Video Music Awardsが開催されます。Music Videoの中で、ダンス曲は注目度も高く人々も夢中になる。
そしてダンス曲で最大の重要な要素は振付、そういう観点でもChoreography(振り付け)部門も設立される事になります。そして最初の最優秀振付は、マイケル・ジャクソンの「スリラー」となります。マイケルは、マイケル・ピータースとともにコレオグラファーとして、そしてパフォーマーとしてW受賞をしています。初代の受賞ですが、歴史的にも「スリラー」を超えるダンスビデオはないと思います。
そして1987年、ジャネットも「Nasty」でこの振付部門でパフォーマーとして受賞。振付は、後にアーティストとしてもデビューするポーラ・アブドゥルによります。さらにこの2人がすごいのが、この年「When I Think Of You」でもノミネートされていることです。同じ年に2曲がノミネートされるというのも異例です。
そして今回取り上げる6枚目のシングル「The Pleasure Principle」もMusic Videoが制作されます。この作品は、これまでの集団ダンスからジャネットのソロダンスによるMVになります。
倉庫の様な所で、ジャネットが一人でストイックに踊りまくるという作品。群舞はある意味、ソロと違って視点がちらばるし、集団のシンクロの美しさと迫力で細かい所がごまかせる所もあると思います。しかし、ソロとなるとすべての視点がパフォーマーにいく。顔の表情から、頭からつま先まで。そして下手なダンスだととても見れる作品にならない。そういうハードルの高いものになるのに、このジャネットによる「The Pleasure Principle」は、最初から終わりまでジャネット一人に釘付けです。切れのいいビートにジャネットのストイックで熱くスピーディーなダンスが融合する。ここまでひたすら踊りまくるソロダンスのMVって記憶にない。これまでのMVもジャネットは相当な鍛錬を積んだと思いますが、このMVはこれまでの作品の中でも一番難関だったのではないかと思います。
振付を担当したのは、これまでのポーラ・アブドゥルではなく新鋭Barry Lather(バリー・ラザー)。このMVのダンスに出会うまで彼の名前は意識していませんでしたが、実は彼にはマイケル経由で出会っていることを知ります。
それはマイケルとディズニーが制作した1986年、ディズニーのアトラクション作品『キャプテンEO』。この作品で彼はダンサーとして参加していたのです。EOのダンサーのオーディションは1200人集まり(ある程度の中から選ばれた1200人だと思う)、さらに40人に絞られる中、バリーは選ばれるのです。
この作品の参加で彼のダンサーとしての道が開かれる。さらに彼は、ダンサーとしてだけではなく振付師としてのキャリアも望んでいた。その最初のビックプロジェクトのチャンスを与えてくれてのがこれまたジャクソン家の末妹、ジャネットだったのです。バリーは振付師としては実績はなく未知数の所があったと思いますが、ジャネットは彼を指名します。
そしてバリー・ラザーはそれに応えます。ジャネットもこの振付をマスターするのにどれだけの時間を費やしたのでしょう。次作『Rhythm Nation』ではさらなる進化をみせるジャネットですが、この「Pleasure Principle」は『Control』期の集大成としての作品になったと思います。
ダンスも素晴らしいですが、陰影あるアーティスティックな映像にもすごく引込まれます。そしてジャネットの努力と才能とバリーの振付は見事な賞をもたらします。1988年のMTV Best Coreographyとして、この作品でバリー・ラザーが受賞します。ジャネットはパフォーマーとして「Nasty」に続き2年連続の受賞となります。
そしてこの1988年のBest Choreographyのノミネート作品がすごい。
・ マイケル・ジャクソン BAD / Gregg Burge and Jeffly Danei
・ プリンス U Got The Look / Cat Glover
・ マイケル・ジャクソン The Way You Make Me Feel / Vincent Paterson
・ スティング We'll Be Together / Barry Lather
・ ジャネット・ジャクソン The Pleasure Principle / Barry Lather ★Win
マイケル、プリンス、スティングとトップアーティストの作品がノミネートされる。バリーは、Stingの「We'll Be Together」の振り付けでもノミネート。スティングの酔いどれダンスも話題になりました。
映画『サイン・オブ・ザ・タイムズ』からは「U Got The Look」、ギター片手にステップをきざむプリンスもいかすけど、シーナ・イーストンのダンスと胸に目が行く。でもシーナのクレジットはないな。実は、プリンスも1986年に「ラズベリー・ベレー」で、プリンス自身も振付師としてこの部門の受賞をはたしている。
そして、兄・マイケルの『BAD』から2作品がノミネート。あの圧巻のDance作品「BAD」が最有力候補かと思いますが、だた一人でストイックに踊るジャネットの作品がこれらを抑えて受賞するのです。
マイケル的には「BAD」での受賞に自信を持っていたかもしれませんが受賞を逃すことになります。でもジャネットの受賞も誇りに思ったに違いない。一人で何かに立ち向かっているようなジャネットのダンス。自立をテーマにした『Control』でしたが、最後の作品にしてジャネットはアイドルからアーティストへと完全に脱皮したとも思える。
こういうソロダンスの作品は印象が少ないですが、もう一つ思い浮かんだのがマイケル・ジャクソンの「Jam」。90年代に入りNew Styleを提示したマイケルの『Dangerous』からの作品。このMVのマイケルのダンスも切れ味鋭くストイックな感じです。途中、マイケル・ジョーダンとのユニ-クな絡みはありますが、基本マイケルのソロダンス。
そしてこの振付を担当したのが、これまたバリー・ラザーだったのです。その視点で見ると、ちょっと「Pleasure Principle」のストイックな空気感を感じる。そして、1993年、バリー・ラザーは「Jam」の振付でノミネートされますが受賞はできず(受賞はアン・ボーグの「My Lovin'」振付:Frank Gatson、Travis Payne、LaValle Smith Jr)。
この後、90年代に入ってもジャネット作品はノミネートはされるもなかなか受賞はできず。1989年からは、振付部門と切り離してBest Dance Videoというダンスを主体とするMusic Videoの部門も創設されます。
マイケル的にも「スリラー」以降、なかなかこの賞での受賞はできませんでしたが、1995年、マイケルとジャネットの共演曲「Scream」が最優秀ダンスビデオと最優秀振付部門(振付:LaVelle Smith Jr、Tina Landon、Travis Payne、Sean Cheesman)で2人揃っての受賞となります。
ただこの「What Have You ---」のジャネットはまだまだ洗練されておらず、アーティスティックなオーラもうすい。しかし「Nasty」「When I Think Of You」「Control」と作品を重ねる毎にジャネットのDanceのキレは鋭くなり、オーラも増していった。
1981年に開局したMTV、様々の映像作品が制作され放送されていきます。そんな中、1984年から優秀な作品に賞を贈るMTV Video Music Awardsが開催されます。Music Videoの中で、ダンス曲は注目度も高く人々も夢中になる。
そしてダンス曲で最大の重要な要素は振付、そういう観点でもChoreography(振り付け)部門も設立される事になります。そして最初の最優秀振付は、マイケル・ジャクソンの「スリラー」となります。マイケルは、マイケル・ピータースとともにコレオグラファーとして、そしてパフォーマーとしてW受賞をしています。初代の受賞ですが、歴史的にも「スリラー」を超えるダンスビデオはないと思います。
そして1987年、ジャネットも「Nasty」でこの振付部門でパフォーマーとして受賞。振付は、後にアーティストとしてもデビューするポーラ・アブドゥルによります。さらにこの2人がすごいのが、この年「When I Think Of You」でもノミネートされていることです。同じ年に2曲がノミネートされるというのも異例です。
そして今回取り上げる6枚目のシングル「The Pleasure Principle」もMusic Videoが制作されます。この作品は、これまでの集団ダンスからジャネットのソロダンスによるMVになります。
倉庫の様な所で、ジャネットが一人でストイックに踊りまくるという作品。群舞はある意味、ソロと違って視点がちらばるし、集団のシンクロの美しさと迫力で細かい所がごまかせる所もあると思います。しかし、ソロとなるとすべての視点がパフォーマーにいく。顔の表情から、頭からつま先まで。そして下手なダンスだととても見れる作品にならない。そういうハードルの高いものになるのに、このジャネットによる「The Pleasure Principle」は、最初から終わりまでジャネット一人に釘付けです。切れのいいビートにジャネットのストイックで熱くスピーディーなダンスが融合する。ここまでひたすら踊りまくるソロダンスのMVって記憶にない。これまでのMVもジャネットは相当な鍛錬を積んだと思いますが、このMVはこれまでの作品の中でも一番難関だったのではないかと思います。
振付を担当したのは、これまでのポーラ・アブドゥルではなく新鋭Barry Lather(バリー・ラザー)。このMVのダンスに出会うまで彼の名前は意識していませんでしたが、実は彼にはマイケル経由で出会っていることを知ります。
それはマイケルとディズニーが制作した1986年、ディズニーのアトラクション作品『キャプテンEO』。この作品で彼はダンサーとして参加していたのです。EOのダンサーのオーディションは1200人集まり(ある程度の中から選ばれた1200人だと思う)、さらに40人に絞られる中、バリーは選ばれるのです。
この作品の参加で彼のダンサーとしての道が開かれる。さらに彼は、ダンサーとしてだけではなく振付師としてのキャリアも望んでいた。その最初のビックプロジェクトのチャンスを与えてくれてのがこれまたジャクソン家の末妹、ジャネットだったのです。バリーは振付師としては実績はなく未知数の所があったと思いますが、ジャネットは彼を指名します。
そしてバリー・ラザーはそれに応えます。ジャネットもこの振付をマスターするのにどれだけの時間を費やしたのでしょう。次作『Rhythm Nation』ではさらなる進化をみせるジャネットですが、この「Pleasure Principle」は『Control』期の集大成としての作品になったと思います。
ダンスも素晴らしいですが、陰影あるアーティスティックな映像にもすごく引込まれます。そしてジャネットの努力と才能とバリーの振付は見事な賞をもたらします。1988年のMTV Best Coreographyとして、この作品でバリー・ラザーが受賞します。ジャネットはパフォーマーとして「Nasty」に続き2年連続の受賞となります。
そしてこの1988年のBest Choreographyのノミネート作品がすごい。
・ マイケル・ジャクソン BAD / Gregg Burge and Jeffly Danei
・ プリンス U Got The Look / Cat Glover
・ マイケル・ジャクソン The Way You Make Me Feel / Vincent Paterson
・ スティング We'll Be Together / Barry Lather
・ ジャネット・ジャクソン The Pleasure Principle / Barry Lather ★Win
マイケル、プリンス、スティングとトップアーティストの作品がノミネートされる。バリーは、Stingの「We'll Be Together」の振り付けでもノミネート。スティングの酔いどれダンスも話題になりました。
映画『サイン・オブ・ザ・タイムズ』からは「U Got The Look」、ギター片手にステップをきざむプリンスもいかすけど、シーナ・イーストンのダンスと胸に目が行く。でもシーナのクレジットはないな。実は、プリンスも1986年に「ラズベリー・ベレー」で、プリンス自身も振付師としてこの部門の受賞をはたしている。
そして、兄・マイケルの『BAD』から2作品がノミネート。あの圧巻のDance作品「BAD」が最有力候補かと思いますが、だた一人でストイックに踊るジャネットの作品がこれらを抑えて受賞するのです。
マイケル的には「BAD」での受賞に自信を持っていたかもしれませんが受賞を逃すことになります。でもジャネットの受賞も誇りに思ったに違いない。一人で何かに立ち向かっているようなジャネットのダンス。自立をテーマにした『Control』でしたが、最後の作品にしてジャネットはアイドルからアーティストへと完全に脱皮したとも思える。
こういうソロダンスの作品は印象が少ないですが、もう一つ思い浮かんだのがマイケル・ジャクソンの「Jam」。90年代に入りNew Styleを提示したマイケルの『Dangerous』からの作品。このMVのマイケルのダンスも切れ味鋭くストイックな感じです。途中、マイケル・ジョーダンとのユニ-クな絡みはありますが、基本マイケルのソロダンス。
そしてこの振付を担当したのが、これまたバリー・ラザーだったのです。その視点で見ると、ちょっと「Pleasure Principle」のストイックな空気感を感じる。そして、1993年、バリー・ラザーは「Jam」の振付でノミネートされますが受賞はできず(受賞はアン・ボーグの「My Lovin'」振付:Frank Gatson、Travis Payne、LaValle Smith Jr)。
この後、90年代に入ってもジャネット作品はノミネートはされるもなかなか受賞はできず。1989年からは、振付部門と切り離してBest Dance Videoというダンスを主体とするMusic Videoの部門も創設されます。
マイケル的にも「スリラー」以降、なかなかこの賞での受賞はできませんでしたが、1995年、マイケルとジャネットの共演曲「Scream」が最優秀ダンスビデオと最優秀振付部門(振付:LaVelle Smith Jr、Tina Landon、Travis Payne、Sean Cheesman)で2人揃っての受賞となります。
さて、Music Videoの話はこのへんにして、最後はサウンドについて掘り下げます。曲は、ジャム&ルイス作ではなく、モンテ・モアによる作品。
プリンスによって作られたバンド、The Time。ジャム&ルイスも在籍し、モーリス・デイ(ボーカル)、ジェシー・ジョンソン(ギター)、ジェリビーン・ジョンソン(ドラム)、そしてモンテ・モアと各々がアーティスト、ミュージシャン、プロデューサーとして成功をおさめた事がこのバンドを伝説的なものにします。
モアは、タイムの中で唯一の白人でジミー・ジャムとともにキーボードをPlay。「3ページの楽譜は3日あれば読める」というジミーとは対照的に、大学でクラシックから音楽を学んだ人のようです。タイムの前身のフライト・タイム時代からジャム&ルイスとともに活動。ジャム&ルイスがタイムから脱退後、モアもタイムを離れジャム&ルイスのプロダクションに合流。その中でジャム&ルイスとともにAlexander O'nealやシェリル・リン、テルマ・ヒューストンの作品に参加。特にアレックスの「If You Were Here Tonight」はモアの絶品Slowとして取り上げられる事も多い。モアは白人キーボーディストだけど、作る楽曲はすごくソウル。自身名義のソロ作品もリリースしています。(またモンテ・モアの特集します)
そんなモアも、ジャム&ルイスが請けおったジャネットの作品に1曲参加する事になります。フライトタイムの一員だし、ジャム&ルイスのスタジオなので同じ機器を使用していると思われ、アルバム『コントロール』のカラーが損なわれることはない楽曲。ドラムのビートのキレもよくCoolなSOUNDにもあう。ボーカルアレンジもモアとジャネット。この曲のジャネットのボーカルスタイルも見逃せない。既に曲はできあがっていたようですが、テーマは決まっていなかったと、しかし「恋の法則」というタイトルにたどり着き、恋の喜びを歌ったクールなリリックとなる。
この曲がさらに好きになったのが2曲のExtendedバージョンを聞いて。『Control』は3枚のリミックスアルバムが出ており、それぞれ収録曲が微妙に違うので3枚入手が必須なのですが、その1枚にThe Pleasure Principle(Long Vocal Remix 7:23)とThe Pleasure Principle(Dub Edit 6:58)のリミックスが収録されています。(2019年に再発!)
The Pleasure PrincipleのリミックスはこのCDにしか収録されていません。このリミックスがいかすのは、ジャネットのマイケルばりのボイスパーカッションがフューチャーされているのと、前面に出たシンセベースのかっこよさ。このリミックスを聞いて、通常バージョンを聞くと、ベースの部分のかっこよさがよりわかり、さらに聞き応えが増すという。この楽曲はモンテ・モア作品のビート曲でもトップクラスの出来です。(デジャの「Serious」もCoolなDance Trackでよい)
チャート的にも、R&Bで1位(HOT100-14位)に輝き1枚のアルバムから5枚のR&B-No1シングルを生むという記録も生みます。(この後、マイケルの『BAD』もこの記録に並びます。マイケルの場合、HOt100でも5曲のNo1シングルとなるのですが。)楽曲はたしかによいですが、このMusic Videoも例のごとくヒットの後押しになったのは間違いない。そして、この6枚目のシングルにして、ジャネットは完全にアーティスト・ジャネットへと変貌を遂げた感。このMusic Videoのスタイルは、多くのアーティストにも影響を与える。『コントロール』から最後のシングルなのに、最後にしてこれまでにないスパークを起こすという。すでに次作『Rhythm Nation 1814』の空気感も感じれます。
『Control』は全9曲収録、Jam&Lewis視点で『Control』からの6曲のシングルヒット曲を掘りさげましたが、シングルになっていない3曲もすばらしい。「You Can Be Mine」は当時ジャム&ルイスが好んで使ったシンセホーンとビートがいい感じ。「He Doesn't Know I'm Alive」は等身大のジャネットを感じるキュートなLove Song。そしてアルバムのエンディングはセクシーで切ない「Funne How Time Flies」。ほんと『コントロール』は捨て曲のないすばらしいアルバム。
しかし、ジャネットとジャム&ルイスの作品はまだまだピークではなかったのです。次作、ジャム&ルイスも想定していなかった壮大なテーマでジャネットは作品に取りくみ、さらにスケールアップしたアーティスティックな作品を世に送り出すのです。
プリンスによって作られたバンド、The Time。ジャム&ルイスも在籍し、モーリス・デイ(ボーカル)、ジェシー・ジョンソン(ギター)、ジェリビーン・ジョンソン(ドラム)、そしてモンテ・モアと各々がアーティスト、ミュージシャン、プロデューサーとして成功をおさめた事がこのバンドを伝説的なものにします。
モアは、タイムの中で唯一の白人でジミー・ジャムとともにキーボードをPlay。「3ページの楽譜は3日あれば読める」というジミーとは対照的に、大学でクラシックから音楽を学んだ人のようです。タイムの前身のフライト・タイム時代からジャム&ルイスとともに活動。ジャム&ルイスがタイムから脱退後、モアもタイムを離れジャム&ルイスのプロダクションに合流。その中でジャム&ルイスとともにAlexander O'nealやシェリル・リン、テルマ・ヒューストンの作品に参加。特にアレックスの「If You Were Here Tonight」はモアの絶品Slowとして取り上げられる事も多い。モアは白人キーボーディストだけど、作る楽曲はすごくソウル。自身名義のソロ作品もリリースしています。(またモンテ・モアの特集します)
そんなモアも、ジャム&ルイスが請けおったジャネットの作品に1曲参加する事になります。フライトタイムの一員だし、ジャム&ルイスのスタジオなので同じ機器を使用していると思われ、アルバム『コントロール』のカラーが損なわれることはない楽曲。ドラムのビートのキレもよくCoolなSOUNDにもあう。ボーカルアレンジもモアとジャネット。この曲のジャネットのボーカルスタイルも見逃せない。既に曲はできあがっていたようですが、テーマは決まっていなかったと、しかし「恋の法則」というタイトルにたどり着き、恋の喜びを歌ったクールなリリックとなる。
この曲がさらに好きになったのが2曲のExtendedバージョンを聞いて。『Control』は3枚のリミックスアルバムが出ており、それぞれ収録曲が微妙に違うので3枚入手が必須なのですが、その1枚にThe Pleasure Principle(Long Vocal Remix 7:23)とThe Pleasure Principle(Dub Edit 6:58)のリミックスが収録されています。(2019年に再発!)
The Pleasure PrincipleのリミックスはこのCDにしか収録されていません。このリミックスがいかすのは、ジャネットのマイケルばりのボイスパーカッションがフューチャーされているのと、前面に出たシンセベースのかっこよさ。このリミックスを聞いて、通常バージョンを聞くと、ベースの部分のかっこよさがよりわかり、さらに聞き応えが増すという。この楽曲はモンテ・モア作品のビート曲でもトップクラスの出来です。(デジャの「Serious」もCoolなDance Trackでよい)
チャート的にも、R&Bで1位(HOT100-14位)に輝き1枚のアルバムから5枚のR&B-No1シングルを生むという記録も生みます。(この後、マイケルの『BAD』もこの記録に並びます。マイケルの場合、HOt100でも5曲のNo1シングルとなるのですが。)楽曲はたしかによいですが、このMusic Videoも例のごとくヒットの後押しになったのは間違いない。そして、この6枚目のシングルにして、ジャネットは完全にアーティスト・ジャネットへと変貌を遂げた感。このMusic Videoのスタイルは、多くのアーティストにも影響を与える。『コントロール』から最後のシングルなのに、最後にしてこれまでにないスパークを起こすという。すでに次作『Rhythm Nation 1814』の空気感も感じれます。
『Control』は全9曲収録、Jam&Lewis視点で『Control』からの6曲のシングルヒット曲を掘りさげましたが、シングルになっていない3曲もすばらしい。「You Can Be Mine」は当時ジャム&ルイスが好んで使ったシンセホーンとビートがいい感じ。「He Doesn't Know I'm Alive」は等身大のジャネットを感じるキュートなLove Song。そしてアルバムのエンディングはセクシーで切ない「Funne How Time Flies」。ほんと『コントロール』は捨て曲のないすばらしいアルバム。
しかし、ジャネットとジャム&ルイスの作品はまだまだピークではなかったのです。次作、ジャム&ルイスも想定していなかった壮大なテーマでジャネットは作品に取りくみ、さらにスケールアップしたアーティスティックな作品を世に送り出すのです。
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