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◆ JAM & LEWIS(ジャム&ルイス) VOL.1 ついに発表されたジャム&ルイスの初めてのリーダー作(アルバム)、そこに集ったアーティストとそこに込められた思いとは [サントラ、コンピレーション]

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 ついにジミー・ジャム&テリー・ルイスのリーダー作が発表された。1983年辺りからプロデューサーチームとして活動している彼らの初めての自分たち名義の作品。
 ジャム&ルイスのアルバムが出るという話は2013年にもあった。この時はプロデューサー稼業30周年という謳い文句だった。
彼ら自身も「楽しみにしていてほしい」と述べていた。しかし、発表されず。ジャム&ルイスのアルバムは発表されなかったけど、2015年にジャネットと11年ぶりにタッグを組んだ『Unbreakable』が発表されるという喜びはあった。しかし、それから彼ら自身のプロデュース作品も見なくなりどうなったのだろう?という思いが募っていた。久々に見るほっそりとしたジミーの姿にも少し心配した。しかし、ついに本当に、2021年7月に彼ら自身の名義のアルバムが発表された。
 彼ら名義のアルバムの発表の話は1986年辺りにもあった模様。その候補曲の一つが「What Have You Done For Me Lately」。邦題ではなくこのタイトルでピンと来る人は、R&B通というか、ジャム&ルイス通というかジャネット通というか。そう、ジャネットの大ブレイクアルバム『Control』からの1stシングル「恋するティーンエイジャー」。元々ジャム&ルイス名義の曲としてストックしていた曲だったそうだが、『コントロール』の陰の立役者、レコード会社の重役のジョン・マクレーンがこの曲はジャネットに必要だと主張し、ジャネット自身も気に入り、アルバムの最終段階でジャネットのアルバムに収録される事となる。そしてこの曲が『Control』からの先行シングルとなり、その後の大
ヒットを導いた曲となる。よく聞くと、ジャネットのボーカルのバックに男性のささやくようなボーカルが聞こえる。ジミーか、テリーのボーカルと思われる。
 1986年からリアルタイムにジャム&ルイスをおってきた私ですが、当時、彼ら名義のアルバムを出すという話はあまり印象に残っていない。アルバムを出したいという思いを持っていても、次から次へとプロデュース依頼が来る彼らに自身の名義のアルバムを制作する時間もとれなかったようにも思う。
 1986年度のグラミーでは、ドラムマシーンや、サンプリング・キーボード等の機器を駆使してサウンドを作るプロデューサーとして初めて最優秀プロデューサ-を受賞。さまざまなアーティストを手がけ、ビルボードのPOPチャートでは16曲のNo1シングルをうみ、R&Bでは26曲のNo1シングルをうむ。(本Blogでも1曲ずつ紹介中)

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 ジャム&ルイス名義のアルバムは出ていなかったけど、1996年にEMIからJimmy Jam & Terry Lewis Hit Songsという4枚組のCDが出ています。彼らの1982年から1996年位までのProduce作のBest盤的な内容でレーベルを超えた収録になっていますが、これは非売品の業界用のPromo CDとなっている。あと、1曲がフルで収録されていない。その分、収録曲は全78にも及ぶ。ここでの1曲目は1982年、Klymaxx(クライマックス)の「Wild Girls」から始まり、TabuでのSOS Band、アレキサンダー・オニール、シェレール。チェンジ、テルマ・ヒューストン、Force MD's、ハーブ・アルパート、モーリス・デイ、パティー・オースティン、シェリル・リン、もちろんのジャネット・ジャクソン。ヒューマン・リーグ、キャリン・ホワイト、ボーイズ Ⅱ メン、ラルフ、ジョニー、ニューエディション、ロバート・パーマーの「Turn You On」も収録。ジョージ・マイケルの「Monkey」(Remix)は収録されていない。ミント・コンディション、SoloをはじめPerspective Recordsのアーティスト。パティ・ラベル、グラディス・ナイト、バリー・ホワイト、マイケル・ジャクソンの楽曲に及ぶ。すごい面子。これだけのアーティスト達をジャム&ルイスは手がけているわけです。(1997年以降も、さらに幅広いアーティストを手がけていますが)
 そして、彼らはただアルバムを手がけ、ヒット曲を生み出すだけでなく、その後のアーティストの名刺代わりにもなるような素晴らしい楽曲とサウンドを制作した。アーティストのパーソナリティーも楽曲に反映させた。お気に入りだった曲を、惜しげもなくジャネットに提供したように、自分たちが前に出るよりいつもアーティストを尊重したプロデューサーだと思う。
 
 音楽プロデューサー名義のアルバムで、一番に思い浮かぶのはクインシー・ジョーンズ。様々なアーティストやミュージシャンが参加するも、アルバムの方向性、スタンスを決めるのはクインシー。1991年の『Back On The Block』はグラミーでも最優秀アルバムを獲得する。クインシー的には、マイケルとの『BAD』がグラミーでスルーされたリベンジをここで果たした印象。1995年の『Q's Jook Joint』はよりバラエティーに富んだ素晴らしいアルバム。
 
バック・オン・ザ・ブロック

バック・オン・ザ・ブロック

  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1989/12/21
  • メディア: CD

 ジミー達も、クインシーの事を最大級にリスペクトしていて「そもそもプロデューサーというものの存在や立場というものを磨き上げた人だ」と述べている。
 
 ジャム&ルイスは、これまで自分たち名義のアルバムは出してはいないが、1991年にA&Mレコード傘下に開設したPerspective(パースペクティブ) Recordsからリリースしたサントラ『Mo Money』は、彼らの最初のリーダー作を思えるくらいバラエティーでCreativeなGrooveが満載の素晴らしいアルバムだった。参加したアーティストの魅力も引き出しながら、お金が一番と思って生きている主人公が、
“この世界で一番素晴らしいものを得るのにお金は要らない”事に気づいていく映画の内容に沿った楽曲を制作する手腕は素晴らしすぎます。
 ルーサー・ヴァンドロス、ジャネット、ラルフ・トレスヴァント、ジョニー・ギル、ベル・ビブ・デヴォー、カラー・ミー・バッド、MCライト、キャロン・ウィラー。そして、Perspective Records所属のサウンズ・オブ・ブラックネス、ミント・コンディション、Lo-Key?達が参加した。

Mo' Money: Original Motion Picture Soundtrack

Mo' Money: Original Motion Picture Soundtrack

  • 出版社/メーカー: Perspective Records
  • 発売日: 1992/06/23
  • メディア: CD

 サントラの中には、「New Style」というアーティストJam&Lewis名義のインストの楽曲もある。Jam&Lewis単独のクレジットの曲は、現在の所この曲のみ。ただ、やはりプロデューサーの彼ら、自分たちの主張と言うより映画のサントラという枠の中で表現した面はあると思う。
 1998年にも『How Stella Gpt Her Groove Back』というサントラを手がけ、こちらも『Mo Money』を超える幅広いトップアーティストが集結した。

ステラが恋に落ちて

ステラが恋に落ちて

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ビクター
  • 発売日: 1998/10/21
  • メディア: CD
 
 スティーヴィー・ワンダー&ワイクリフ・ジョン、ジャジーB、マキシ・プリースト, ミシェル・ンデゲオチェロ, サザーランド, シャギー、ジャネット, メアリー・J.ブライジ, K-Ci&JoJo, ビッグ・パニッシャー&ビーニー・マン、SOULⅡSOUL、ボーイズⅡメン、ダイアナ・キング等。映画の舞台がジャマイカというのもあって、アーティストもサウンドもちょっと熱帯系。CreaterでもあるジャジーBとジャム&ルイスが出会い、SOUL Ⅱ SOULも手がけたのはしびれた。それらも含めジャム&ルイス全編Produceで見事なサントラを作り上げている。
 TABUレコード時代では、ボーカルがとれない彼らに変わって盟友アレキサンダー・オニールやシェレールが彼らを代弁して彼らのサウンドを歌った感じもある。
 しかし、今作のタイトルはJam&Lewisなのです。ついに彼らの名義のアルバムなのです。そしてしそれに応えてトップアーティストが集結した。さらにVol.1なのです。

 
 今回、ジャム&ルイスの元に集ったアーティスト。それぞれ深いつながりと意味合いを感じる。SOUNDS OF BLACKNESS、メアリー・J・ブライジ、ボーイズ Ⅱ メン、マライア・キャリー、Babyface、トニー・ブラクストン、ヘザー・ヘッドリー、チャーリー・ウィルソン、アッシャー、モーリス・デイ(The Time)、The Roots。
 参加アーティストはすごい、すさまじい。これだけのグラミー級アーティストを集結させるプロデューサーはいないし見たこともない。ただジャム&ルイス作品を追ってきたものとしては、最初、このアーティスト名に新鮮さは感じなかった。というのも直接プロデュースしていないアーティストは、トニー・ブラクストンとザ・ルーツくらい。Babyfaceは公式には表に出てないけど過去に手がけた曲はあり。
で、他のアーティストは、これまでアルバムも手がけ、ビルボード1位も獲得しているようなアーティスト達だからです。過去に、スティングやロッド・スチュワート等も手がけているジャム&ルイスですが、今回、R&B系アーティストで占められている。
 後、若手がいない。一番若いのが1973年生まれのUsherで42歳。一番上が1953年のチャーリー・ウィルソンで68歳。以前、プロデュースするという話もあったブルーノ・マーズやビヨンセ主演のサントラ『Fighting Temptations』で手がけたこともあるビヨンセ等が入ったらより華やかでさらに勢いが出たかな等とも思う。
 リアルな所だと、ギャラとかの兼ね合いもあるのかな。多くのアーティストはジャム&ルイスをリスペクトしていると思うし、声をかけられただけで名誉な事だと思うし、中には、ノーギャラに等しい形で参加しているアーティストもいたりして。
 ちょっと下世話な話だけどギャランティーランキングを考えてみた。過去の実績と現在のポジション。あと友情出演のアーティストは、ノーギャラです。
 
 上位ギャラ  マライア・キャリー、Usher、メアリー・J、トニー・ブラクストン
 中位ギャラ  The Roots、ボーイズⅡメン、チャーリー・ウィルソン
   低位ギャラ  ヘザー・ヘッドリー
 友情出演   Babyface、モーリス&ジェローム、サウンズ・オブ・ブラックネス   

 生きていたらホイットニー・ヒューストンの名前も浮かぶ。さらにマイケル・ジャクソンも。ただマイケルは、クインシーのアルバムでさえ参加していないので、こういうオムニバス系のアルバムに参加することはないかな。
 ジャネットが参加していないのは、意外でもあったけど、逆にジャネットは、ジャム&ルイス&ジャネット的なトライアングルなのでちょっと特別な位置づけであるかもしれない。ボビー・ブラウンも含めたニューエディションの参加もあったらしびれたかも。
 ただ参加したアーティスト、どの方もオンリーワンのすばらしいボーカルをもった人たち。その辺も意図しているのかもしれない。何よりもジミーとテリーのお気に入りアーティストには間違いない。いろいろ声をかけ、スケジュールの関係で今回の参加を見送ったアーティストもいると思う。ただジャム&ルイスも言っているように、Vol.1だからと。彼らのこれまでのキャリアと実績からして、Vol.2も度肝を抜かれるアーティストが参加する可能性は大いにある。
 でも、こうして待望の作品が出たばかりでもう次のアルバムの事に言及するなんて彼らに失礼だわ。今は、このVol.1の世界に浸ろう。
 
 収録曲は全10曲。80年代のアルバム(レコード)を思い起こさせる曲数と時間。そして10曲の順番の意味と構成も感じる。まだ最初に聞いたイメージだけど、すごくメロディーとサウンドのバランスがいい。ジャム&ルイスはProducerという事でサウンド型のプロデューサーの印象を持ってる人も多いかもしれないけど、すばらしいライターでもある。近年、そのメロディーの良さが感じれない事が多くなったけど、今作は80年代に感じていた彼らの曲の良さ、曲とサウンドの絶妙なバランスの素晴らしさを思い出した。
 かつてのジャネット作品のようなバキバキのDance/Funk路線の曲はないけど、すばらしい楽曲群がそろう。ジャム&ルイス名義だけど、それぞれのアーティストの素晴らしさを引き出している楽曲に、彼らのプロデューサーとしての凄みも感じる。
 

 それでは1曲ずつのレビューです。

 ① Sounds Of Blackness  /  Til I Found You 

 オープニングは、ゴスペルグループ、Sounds Of Blackness
(サウンズ・オブ・ブラックネス)。ジミー・ジャムのイントロトークの後、曲が始まる。ジャム&ルイスにとって、彼らは同郷のミネソタ州で活躍していたゴスペルグループ。ジャム&ルイスも小さい頃からこのグループの曲を聞いていたといい憧れのグループでもあったと。
 ジャム&ルイスが1991年に開設したレーベルPerspective Records の第一弾アーティストとして招き入れた。1960年代から活動してきた彼らですがメジャーデビューはこのPerspectiveからになります。ジャム&ルイスが開設したパースペクティブは、有名になりたい、売れたいという思いが強いミュージシャンではなく、熱いミュージシャン魂を持つアーティストを一番重要視して契約したと。今は閉鎖されてしまったけど、このレーベルからは、Mint Condition、Lo-Key?、ボビー・ロス・アヴィーラ等すばらしいNewアーティストがたくさんデビューした。今回のジャム&ルイスのアルバムにある根底の思いもその部分と通じる所もあると思う。
 Sounds Of Blacknessのこのデビューアルバム『Evolution Of Gospel』でジャム&ルイスは今の時代にあったコンテンポラリーなゴスペルサウンドを提示します。さらに自分たちの音楽のルーツであるアフリカ大陸がジャケにもなっているように、彼らは黒人であることに向き合うことを忘れません。

Evolution of Gospel

Evolution of Gospel

  • アーティスト: Sounds Of Blackness
  • 出版社/メーカー: Perspective Records
  • 発売日: 1991/05/07
  • メディア: CD


 私は、それまでゴスペルアルバムというのは数枚しか購入したことがありませんでした。R&B好きではありましたが、ゴスペルは画一的なイメージとちょっととっつきにくい所があった。このBlacknessのアルバムでジャム&ルイスが提示したスタイルは、斬新なR&Bをまじえてのゴスペルサウンドだった。ここから「Optimistic」がR&B-3位のヒット。ジャム&ルイスも自分たちが手がけた楽曲の中でも、最も大切な曲の一つとあげる1曲。
「うつむくな、空を見上げている限り、見上げている限りあなたは勝者になる。楽天家であれ
」というメッセージを、当時はやりのグラウンドビートとフィリーの雰囲気もミックスさせた素晴らしい楽曲。ジャム&ルイスは残り3曲も違ったスタイルで手がける。その他の楽曲は、グループのリーダー、ゲーリー・ハインズが手がける。そしてこのアルバムは、1991年のグラミーで最優秀ゴスペル・コーラス・アルバムも受賞。
 今回収録された「Til I Found You」は、2019年に発表されていた曲で今回のアルバムにも収録される形となりうれしい。この曲では離れていたリードボーカルのアン・ネズビー(『I'm Here For You』はジャム&ルイスとジェイムス・ライトがフルProduce)も参加しているのがうれしい。

I'm Here for You

I'm Here for You

  • アーティスト: Nesby, Ann
  • 出版社/メーカー: Fontana a&M
  • 発売日: 1996/05/21
  • メディア: CD

 さらにここで触れずにいられないのが、メンバーの中心でもあるジェイムス・ビック・ジム・ライト(以下ジェイムス・ライト)の事。

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 彼の歌声も聞く事ができる。彼は2018年9月29日に逝去されています。SOBの中心メンバーの一人の彼でしたが、その才能はグループ内でおさまらず、ジャム&ルイスのフライトタイムプロダクションにも招かれ、多忙を極める彼らの片腕と
して94年辺りから活躍していた。

アフリカ・トゥ・アメリカ

アフリカ・トゥ・アメリカ

  • アーティスト: サウンズ・オブ・ブラックネス
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2007/04/18
  • メディア: CD

 ジェイムス・ライトはキーボーディストでもあり、その美しいシンセ音は同じキーボディストであるジミー・ジャムも一目置いていた。彼はボーカルもとれ、サウンズ・オブ・ブラックネスの3rd『Africa To Africa』では、ボーカルとプロデュース、キーボードPlayと大活躍。彼のソロアルバムの話もあった。彼の死はとてもとても残念だけどこうしてこの「Til I Found You」がジャム&ルイスのアルバムの収録曲としてリリースされて本当によかったと思う。リリックはまだ見れていないのですが、「あなたを見つけるまで」というタイトルが個人的には、Favのエヴァンゲリオンのテーマっぽくてまたいい。サウンズ・オブ・ブラックネスも再びジャム&ルイスとアルバム制作の話もある。

 ②  Mary・J・Blige / Spinninn 

 メアリーとジャム&ルイスのつながりも深い。初めての共演はメアリーの1997年の3rd『Share My World』。メアリーは
1991年にデビューし、R&Bとヒップホップを融合したスタイルでブラックミュージックの流れを作った。そして”クイーン・オブ・ヒップホップソウル”と呼ばれるようにもなる。その仕掛け人はパフ・ダディーことショーン・パフィー・コムズ。
 サウンドとともにメアリーの唱法とその生き様も多くのファンを魅了した、し続けている。メアリーは、ぶっちゃっけうまいボーカリストではない。正統派のホイットニー・ヒューストンと比較したら歴然。でもこれまでシーンにいそうでいなかったストリート感をもたせたボーカルや、テクニックとかではなくストレートな情念を込めたボーカルスタイルだった。そしてその新しいスタイルは、そのホイットニーのあせりも生ませたと思う。
 そのメアリーをジャム&ルイスはどういうサウンドで臨むかという所。このアルバムのメインは、新鋭ロドニー・ジャーキンス。R.ケリー、Babyfaceとこの時のトッププロデューサーが集結した。Producer陣にとってもメアリーは手がけてみたいアーティストなんだと思う。ジョージ・マイケルもスティーヴィー・ワンダーの「As」でメアリーと共演した。そしてもちろんその中にジャム&ルイスもいるわけで、彼らは2曲をProduce。シングルの「Love Is All We Need」はNASもフューチャーし、ジャム&ルイス的にもかなりのヒップホップも織り交ぜたファンクサウンドとなった。チャート的にはR&B-5位。POP-43位。


Share My World

Share My World

  • アーティスト: Blige, Mary J.
  • 出版社/メーカー: Universal
  • 発売日: 1997/04/14
  • メディア: CD

 
 もう1曲のバラード「Everything」は、スタイリックスの「You Are Everything」と坂本九の「スキヤキ」もミックスさせたバラードとなった。
 4th『Mary』(1999)でもJam&Lewisは1曲をProduce。
5th『No More Drama』(2001)でもタイトル曲を1曲Produce。ここでジャム&ルイスは、メアリーの心情を歌に込めた。メアリーってけっこう強さともろさを両方もっている印象がある。JodecyのK-Ci(ケーシー)との破局時には希死念慮なんかも告白したり、幼少期のつらい経験だったり、そういったものがバックボーンにありどこか陰を感じてしまう。でも乗り越える強さもヒシヒシと感じる。
 パフィーが再び全面Produceした6th『Love & Life』(2003)に、ジャム&ルイスは参加しなかったけど、7th『The Breakthrough』(2005)では2曲Produceしている。
 1枚でのアルバムでの関わりは数曲ですが、ジャム&ルイス的にもここまで毎回アルバムに参加するような関係が続いているアーティストはジャネットくらい。
そうしたものを見ると、今回のメアリーに参加は必然のようにも思う。そして、この「Spininn」。一聴してメアリーっぽい。どこか陰があり、そして情念も感じる。逆に今までこういうタイプの曲をメアリーに作っていなかったのかという印象も持つくらい。現在、50歳の彼女、今の歌声も全盛期と変わらないどころか、進化してる。

 ③ Boys Ⅱ Men  /  The Next Best Day 

 ジャム&ルイスのアルバムに、ボーイズ・トゥー・メンも当然の招集でしょうか。90年代、Jodecyとともにボーカルグループムーブメントをおこしたグループ。それまで日本のリスナーにとって黒人のボーカルグループはR&B好きが聞く感じて一般的には馴染みが薄かったと思いますが、1992年、Babyfaceが手がけ、当時のビルボードで13週連続1位のヒットの記録を生んだ「End Of The Road」は、日本でも大ヒットした。当時、ライバルプロデューサー(本人達はそんな意識してないと思うけど)として何かとBabyfaceと比較されたジャム&ルイス。メロディーラインを軸とするBabyfaceに対して、ジャム&ルイスは、ボーカルワークを軸にプロデュースしたのが「On Bended Knee」。こちらも大ヒットNo1シングルとなります。

II

II

  • アーティスト: ボーイズIIメン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: CD


 BⅡMとは、その後も「The Season Of Loneness」もNo1シングルにもなり、その後、3人組になってもプロデュースは続いた。今回、正当派ボーカルグループとしてなら、過去にジャム&ルイスが手がけたPerspective所属の4.0やSOLOもいたけど、今はもう活動していない。カラーミーバッドもどうしてるのだろう。ボーカルグループを1組入れるとなるとやはりボーイズ・トゥー・メンしかいないか。最近、ボーカルグループ、ほんといなくなったな~。
 今回の「The Next Best Day」も素晴らしいBⅡMにあう素晴らしいSlow。通ならこの曲に「On Bended Knee」のワンフレーズがかなりベタに組み込まれてるのがわかると思う。これがさらに懐かしさを感じさせるのかもしれない。

 ④ Marah Carey /  Somewhat Loved( There You Go Breakin' My Heart)

  マライアとジャム&ルイスも、1999年のマライアの7thアルバムで共演することになります。90年代は、文句なしにマライアのDecadeでした。1991年のデビューシングル「Vision Of Love」からNo1シングルを連発。1999年、ジャム&ルイスが手がけた「Thank God I Found You」がマライアの90年代の最後の15枚目のNo1シングルとなります。(その後、不調の時期もありますが2000年以降もNo1シングルを生みだし計19枚でビートルズの20枚に次ぎ歴代2位となっている)


【Amazon.co.jp限定】レインボー (メガジャケ付き)

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  • アーティスト: マライア・キャリー
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2020/11/04
  • メディア: CD


 この曲は、R&B男性ボーカルの雄、Joeと若手ボーカルグループ98 Degreeを迎えてのゴスペルチックな曲となります。ジャム&ルイスもマライアほどのビックネームを手がけたのは、マイケル・ジャクソン位で、色のついていない新人アーティストを手がけるよりかなり難しかったのではと思います。しかし、この曲は見事にNo1シングルとなります。意外とマライアもシングルとしてこういうタイプの曲はなかった。
 ジャム&ルイスはこのアルバムで6曲をProduce。フィル・コリンズの1985年のヒット曲「Against All Odds」(見つめていたい)もカバーしている。ダンス曲はなく、ミドル、Slow曲が中心となる。「ペタルズ」のジェイムス・ライトのピアノが美しい。
 ヒット曲も生み、相性のよさも感じたマライアとジャム&ルイスは、続く8thアルバムも手がけます。マライアが主演する映画『グリッター』のサントラとなります。

グリッター

グリッター

  • アーティスト: マライア・キャリー
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 2001/08/18
  • メディア: CD

 サウンド的には80'Sサウンドの回帰で、ジャム&ルイスの代名詞のようなTR-808も随所に使用。ロバート・パーマーもカバーし大ヒットしたシェレールの「ターン・ユー・オン」をあえて当時のトラックで再現したりもした。エリック・ベネイとのDuo曲もあり。個人的には大好きなTasteで決して楽曲も悪くないけど、映画も大コケして、それを受けてアルバムも低い評価を受けた感。これまで不調期を感じさせなかったマライアでしたが、
自殺騒動なんかも出て彼女の勢いが一気に失速するきっかけにもなってしまいました。
 かといって、ジャム&ルイスと組むのが嫌になったわけではなく、ジャム&ルイスは次の9th『Charmbracelet』(02)にも参加しています。さらに「We Belong Together」のメガヒットでマライア復活となった10th『The Emancipation Of Mimi』(05)には、ジャム&ルイスに代わって弟子のビック・ジム・ライトが参加しいい仕事をしています。
 そして今回も今なおNo1ディーヴァに君臨するマライアを招いての1曲。ジャム&ルイスが手がけたこれまでの楽曲で一番キャッチーかも。マライアの小鳥の鳴き声のような高音も健在。いろいろあったけど、マライアも52歳、ボーカルが衰えてないのに驚き。1990年代の録音じゃないよね。アルバムからの3rdシングルになっています。残念ながらHOT100とR&Bではチャートinしていない感じ。No1シングルになってもいいポテンシャルなのに。

 ⑤ Babyface  / He Don't Know Nothin' Bout It n'

 ジャム&ルイスのリーダー作が発表されるという所で、参加アーティストが注目されますが、最初に紹介されたのがベイビーフェイスだった。今や、彼自身もジャム&ルイスと同じようなレジェンド級のアーティスト。Producerであり、コンポーザーであり、ミュージシャンであり、そしてボーカリストでもある。
 BabyfaceはLAリードとコンビを組みLA&BABYFACEとして1986年辺りからプロデューサー活動を開始。最初のR&B-No1のヒット曲、ウィスパーズの「Rock Steady」に象徴されるように、都会的なロマンティックなサウンドでファンを魅了した。しかしそれだけでなく、Street感もあるかっこよさとロマンティックさが融合した絶妙な曲も制作した。そんなLA&BABYFACE時代に、彼らが目標としていたプロデューサーが、ジミー・ジャム&テリー・ルイスだったのです。これまた当時、何かと両者を対決させるような音楽記事も多く見ましたが、両者はお互いをリスペクトしていた。
 1993年からBabyfaceは経営側にまわったLAリードをコンビを解消し、さえわたるメロディーラインを軸に単独でプロデュース活動も行っていき、エリック・クラプトンから火がついたアコースティックサウンドのムーブメントをさらに深めるProduceスタイルも広めたり、POP Musicのアイコン、マドンナにもNo1ヒットシングルももたらしたり、LAFACE時代よりもさらなるヒット連発した。グラミーの最優秀プロデューサーを3年連続受賞という偉業もなしとげ、実績的にはジャム&ルイスを上回るものがあった。
 そしてフェイス自身も、ソロアルバムを制作しヒットも生み出していた。ベイビーフェイスのボーカルはすごく繊細。そしてすごくテクニカルで、様々な唱法も見せる、サウンドとと
もにフェイスワールドへ導かれる感じ。個人的には3rdが一番好き。

フォー・ザ・クール・イン・ユー

フォー・ザ・クール・イン・ユー

  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
  • 発売日: 2001/06/20
  • メディア: CD

 ベイビーフェイスが書いた曲をジャム&ルイスがProduceするのが理想型という音楽ライターも多くいた。しかしなかなか実現せず。そして今回、三者が共作した曲がこうして収録された。久々にベイビーフェイスのボーカルにふれたけど、63歳とは思えない、これまた変わらないな~という印象。
 ベイビーフェイス自身も、ジャム&ルイスと同様に多くのアーティストを手がけ自身のリーダー作も制作できるアーティスト。実際、制作されていないけど、これまたそれに近いのが、ホイットニー・ヒューストンも出演したサントラ『Waiting To Exhale』。
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「ため息つかせて」オリジナル・サウンドトラック

「ため息つかせて」オリジナル・サウンドトラック

  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: CD


 映画のテーマに合わせ、女性アーティストのみの参加となったサントラ。アレサ・フランクリン、ブランディー、トニー・ブラクストン、TLC、チャカ・カーン、メアリー・J・ブライジ、フェイス・エヴァンス、パティ・ラベル等一流のディーヴァが集う。Babyfaceだから集めれたと思う。ホイットニーが歌うテーマ曲「ため息つかせて」も1位を獲得。
 今回、Babyfaceとジャム&ルイスという夢の共演がなされるわけですが、過去記事でもとりあげたように、過去に一度彼らが共演した曲は没になっています。Babyfaceは、2004年3月に
"Romance is Back"というサブタイトルで6thアルバム『A Love Story』を発表予定でした。このアルバムの中に、ジャム&ルイスと共作、共同Produceした「Love Story」というアコースティックなSlow曲の他、数曲制作したという話も見ましたが流れるのです。
 あらたに制作されたのが発表された『Grown & Sexy』のようです。『A Love Story』よりキャッチーな感じになっていて、ジャム&ルイスとの曲は新しいアルバムのコンセプトに合わなかった感じです。今回の「He Don't Know Nothin' Bout It」で、本当に両者の才能がかみあった楽曲が登場します。この曲は、Faceの1989年の2nd『Tender Lover』収録のバラード群の雰囲気がある。この時のヒット曲「Whipp Appeal」のリズムアレンジに似てるからかな。R&Bで16位でチャートInしている。


 ⑥ Tony Braxton / Happily Unhappy

 トニー・ブラクストンとは、プロデュースしていてそうでしていなかったディーヴァ。トニーのデビューが、1993年、当時ライバル視されていたLA&BABYFACE主催のLAFACEレーベルからでした。

ラヴ・アフェア

ラヴ・アフェア

  • アーティスト: トニー・ブラクストン
  • 出版社/メーカー: BMGビクター
  • 発売日: 1993/09/22
  • メディア: CD


 ここからはLA&BABYFACEがProduceした曲も含め6枚のシングルヒットを生み、グラミーでも最優秀新人賞を獲得します。ポスト、ホイットニーとも言われ新たなディーヴァの誕生だった。そしてマライア・キャリーとともに90'Sの女性ボーカルを牽引した。
 1996年の2nd『Secrets』からはB
ABYFACEがProduceした「You’re Makin’Me High」がHOT-100で1位を獲得。またDavid Fosterが手がけた「Un-Break My Heart」は11週1位を記録。3rd『The Heat』(2000年)からはRodney Jerkinsの「He Wasn't Man Enough」も2位。ただLAFACEから離れた02年以降ビックヒットに恵まれず。
 しかし、そんなトニー・ブラクストン、けっこうな浪費家らしく金銭トラブルのニュースがチョコチョコ舞い込む。2010年には5千万ドル(60億円??)で二度目の自己破産って・・・ちょっと桁が違うんじゃないのって驚いた。この時のはラスヴェガス公演を体調不良によりキャンセルした違約金らしいけど。そんなトニー、体調不良や金銭、契約トラブル等業界に嫌気がさして引退を考えていたところ、それを知ったBABYFACEがその才能を終わらせるのはまだ早いということで、DUOアルバムの話に発展し制作したのが2014年の『Love, Marriage & Divorce』(恋愛、結婚、離婚)。

Love, Marriage & Divorce (+ 2 Bonus Tracks)

Love, Marriage & Divorce (+ 2 Bonus Tracks)

  • アーティスト: Toni Braxton & Babyface
  • 出版社/メーカー: Motown
  • 発売日: 2014/02/04
  • メディア: CD

 トニーのデビュー曲は、サントラ『ブーメラン』のBabyfaceとの「Give You My Heart」という明るい軽快なLove Songでしたが、将来、離婚をテーマにしたアルバムを制作をするなんてその時は思わなかったろうな。皮肉ではなく、人生ってほんとわからないって思う。ただ二人とも離婚を経験したからこその思いも込められたと思う。刺激を受けてかBabyfaceのメロディーとリリックも絶品でこのアルバムはグラミーでも最優秀R&Bアルバムを受賞することとなる。
 トニーとジャム&ルイスのつながりはゼロではなく、ジャム&ルイスのPerspective所属だったミント・コンディションのメンバーでサウンドの要のケリー・ルイスと結婚しており、2002年に彼ともアルバム『More Than A Woman』を制作している(そしてその彼と離婚)。
 この「Happily Unhappy」は、最初聞いたとき、ジャム&ルイスと言うより、「Breath Again」を思い起こさせるBabyfaceっぽいメロディーラインだと思った。そしてタイトルからも彼女のパーソナリティーを反映させた楽曲のように思う。初めての共演だけど、またまたそのアーティストにあった曲を制作してしまうジャム&ルイスの手腕は健在。トニーのボーカルも以前よりナチュラルな感じですごくいい。引退なんてどんでもない話だよ。今度は、ジョニー・ギルの時のように、BabyfaceとJam&Lewisがフルプロデュースするアルバムを聞いてみたいよ。

 ⑦ Heather Headley / Maybe I've Changed(or Did You)

 ヘザー・ヘッドリーは、カリブ海(中南米)のトリニダード・トバゴ出身の女優/シンガー。15歳の時に米国に移住し、憧れのアーティストはホイットニー・ヒューストンだそう。ヘザーは、ジャム&ルイスがProduceした2003年の「I Wish I Wasn't」で知ることになります。
 舞台女優出身の彼女、2000年には『Aida』で、ミュージカルのアカデミー賞的なトニー賞を受賞している。実際の舞台は見たことはないのですが、演技と歌唱力は一級品。その彼女が、2003年音楽界にもデビュー。ここで前述の「I Wish」をJam&Lewisが手がけるのです。(ライティングにはビック・ジム・ライトも参加)

ディス・イズ・フー・アイ・アム

ディス・イズ・フー・アイ・アム

  • アーティスト: ヘザー・ヘッドリー
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2003/02/05
  • メディア: CD


 「I Wish I Wasn't」は、ゴスペルチックなSlow。この曲をヘザーは素晴らしい癒やしの歌声で表現します。出だしは、繊細でしっとりした感じのボーカルなのですが、終盤にかけてじわじわボーカルを強めていきます。でもそのギアの上げ方がすごくナチュラル。チャート的にはR&B-15位ですが、グラミーにおいて最優秀R&Bボーカルパフォーマンスにノミネート、さらに最優秀新人賞にもノミネートされます。デビューアルバム『This Is Who I am』はGold DIskにも輝きます。

In My Mind

In My Mind

  • アーティスト: Heather Headley
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 2006/01/31
  • メディア: CD

 続く2ndアルバム『In My Mind』はR&Bチャートで1位に輝きこれもGoldを獲得。ヘザーは、カリビアン出身っぽくない雰囲気があったけど、このアルバムではらしくシャギーとのダンス系の曲もいい感じで歌う。Up曲はちょっとビヨンセっぽい雰囲気もある。このアルバムでもジャム&ルイスはSlow「Wasn't Not Being Said」を提供。
 2009年の3rd『Audience Of One』は、ジャム&ルイスは参加していませんが、ゴスペル色を強めたこのアルバムは、グラミーで最優秀ゴスペルアルバムを受賞している。トニー賞とグラミー賞の両方を受賞している人ってそんなにいないのではないかな。ミュージカルのボーカルとレコーディングのボーカルのアプローチは違うみたいで、オーディエンスではなく、相手の表情が見えないスタジオでマイクサイズにボーカルを収める難しさをかなり感じ修正していったそう。
 そんなヘザーをこのアルバムに呼ぶとは意外といえば意外でした。ジャム&ルイスって新人アーティストを手がける時、こんな逸材に出会ったことがないって毎回絶賛する。Tabu時代だと、ロンダ・クラークが思い浮かぶ。あとノディーシャとかエンジェル・グラントとか。でもその後、作品がなかなか続いていない。けどヘザーは、ジャム&ルイスがすごく気に入っているボーカルスタイルなんだと思う。今作の「Maybe I've Changed」は、ゴスペルチックと言うより、ジャジーでブルースな雰囲気がある。ここでも癒やしで繊細で力強いボーカルを感じる。この曲、ビヨンセが歌っても合うように思う。

 ⑧ Charlie Wilson  / Do What I Do 

 チャーリー・ウィルソンは、80年代のシンセファンクグループ、The Gap Bandの中心メンバー、そのボーカルスタイルは、多くのR&Bアーティストに影響を及ぼしているというイメージ。ギャップバンドの曲は、ヒップホップ系の曲にサンプリングされることも多く、最近でもこれもギャップバンドの曲なんだと知ることもチョコチョコある。ジャム&ルイスもサントラ『KAZAM』で、Usherとの初共演曲「I Swear I'm In Love」でGap Bandの「Outstanding」をモロサンプリングしてる。

 チャーリーのソロ活動は90年代に入ってからで、私が所有するアルバムもR.ケリーがProduceで参加したり、リスペクトされているアーロン・ホール(GUY)が歌う「Let's Chill」をチャーリーがカバー、さらにジャスティン・ティンバーレイクも参加した3rd『Charie,Last Name Wilson』しかないのであまり深く語れない。
 チャーリー・ウィルソンは、若手アーティストからすごくリスペクトされていて、共演も望まれ、ブルーノ・マーズともしてる。この曲、ブルーノが歌ってもいい感じじゃない?ジャム&ルイスもチャーリーは以前から手がけたいアーティストとしてあげていたが、ついに2015年に共演することとなる。他にも近年、ジャム&ルイスってR&Bのレジェンド級のアーティストと共演している。Earth,Wind & Fire、Isley Brothers、直近ではザ・ワイナンズのカーヴィン・ワイナンズの2019年のProduce。


Forever Charlie

Forever Charlie

  • アーティスト: Wilson, Charlie
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 2015/01/27
  • メディア: CD

 『Forever Charile』では3曲Produceしていて、GAP Band時代を彷彿させるシンセファンクも再現したりさすがジャム&ルイス的なWorks。今回収録のこの「Do What I Do」は、チャーリーのナチュラルなソウルさを引き出している。ドラムマシーンとヴォコーダーもいい感じ。70歳近いのに、フェロモンも出まくってる感じ。 また若手アーティストが共演したがりそう。

  ⑨ Usher  /  Do It Yourself  

 Usher(アッシャー)はマイケル・ジャクソン亡き後、R&Bのスーパースターの位置にいると思います。ビルボードのNo1シングルも9曲で歴代11位。(マイケルは13曲で歴代5位)現役の男性R&Bではアッシャーが1位。でも2010年の「OMG」が最後のNo1シングルでここ10年No1シングルが出ていない。個人的にはマイケル・ジャクソンレベルのカリスマ性は感じない。来日公演は少なく、ドーム級をまわるような集客数は得れない感じで、日本ではR&Bアーティストの枠を破れていない感じ。ただ本国USAでは日本ではわかならい絶大な人気をほこっている。一度、LIVEパフォーマンス見ると釘付けになる。
 1994年Usherは15歳で、LAリード主催のLAFACEレーベルからデビュー。当時の旬のトッププロデューサー、パフィー・コムズやディヴァンテ・スウィング(jodecy),
エディーFのアンタッチャブル一派が集結。

Usher

Usher

  • アーティスト: Usher
  • 出版社/メーカー: La Face
  • 発売日: 1994/08/30
  • メディア: CD

  Gold Diskには輝くも大ヒット感はなかった
。私的には、このデビューアルバムはそんな衝撃をうけるほどのボーカルではなかった。ただサウンド的には、派手さはないのだけど当時の最先端の音がつまっていてすごくいい。ビジュアルも、ぜんぜん垢抜けてない感じだったし。1stからはシングルのビックヒットは出ず。後にこれほどのビックアーティストになるとはまったく予想してませんでした。(見る目ね~)LAリードの眼力、さすがです。

 アッシャーが大ブレイク(化けた)したのが、1997年、2nd『My Way』。ここから1stシングル「You Mame Me Wanna…」で大ブレイク。アッシャーも芋兄ちゃんから一気にかっこいい兄ちゃんにchange。ボーカリストとして著しい進化も感じた。2nd以降のアッシャーはめちゃかっこいい。こんなに変わるもなのかって。アッシャーの大ブレイクとともに、このアルバムを手がけたジャーメイン・デュプリ(JD)もトッププロデューサーへと登りつめた。このアルバムから初めて「Nice & Slow」がNo1ソングとなります。Slowナンバーが初めてのNo1シングルは意外だけど、ソウルも感じるいい曲。

 そして2001年の3rdアルバム『8701』に、ジャム&ルイスが起用されます。正直な所、これは意外でした。ただUsherとはこのアルバムを手がける前にジャム&ルイスのレーベルPerspectiveからのサントラ『カザーム』で初めて顔をあわせています。

''8701''

''8701''

  • アーティスト: USHER
  • 出版社/メーカー: ARIST
  • 発売日: 2003/12/19
  • メディア: CD
 
 このアルバムからはJam&Lewisとエドモンド・クレメント(or エディ・ハッスル)が共同プロデュースした「U Remind Me」がアッシャー2枚目のNo1シングルに輝きます。グラミーにおいても最優秀R&B歌手も受賞している。基本、アッシャーは、シーンの先をいくCreaterと組む印象があったので、当時、既に大御所的なポジションにいたジャム&ルイスがメインになるとは思いませんでした。ただこれは当初制作していたアルバムがリークされ作り直す状況になったという経緯も影響しているかもしれない。
  エドモンドが書いたこの曲を見つけてきたのは、レーベルの重役となっていたLAリード。Usherのイメージに合うと言う事で即決採用だったみたい。エドモンドはSOUNDの方でも関わりますが、LAリード的には若手の彼だけでは心もとなかったのか、ジャム&ルイスという間違いないProducerにもプロデュース依頼をかける。正直な所、この曲にジャム&ルイスのカラーを感じる事ができなかった。エドモンド単独のものと比較したら、あ~やっぱジャム&ルイスが絡むと違うわ~って事になったのかもしれないけど。こうして「U Remind Me」が現在の所、ジャム&ルイスProduce最後のNo1シングルとなっている。『8701』では他に4曲手がけていますがシングルにはなりませんでした。あと、このアルバムからはJDのSlow「You Got It Bad」もNo1シングルとなります。
 Usherの4thアルバム『Confessions』(2004)からは「Yeah!」「Burn」「Confessions pt2」、そしてアリシア・キーズとのDUO「My Boo」
が続けて1位を獲得。もう1曲1位を獲得したら、1枚のアルバムから5曲のNo1シングルを生んだマイケルの『BAD』と肩をならべる所でした。このメガヒットで、Usherは他の追随を許さないR&B男性アーティストのTopの位置につけた印象を受けます。『Confessions』では、ジャム&ルイスは、ボビー・ロス・アヴィーラとともに4曲手がけていますが、彼らの曲はシングルになっていません。一昔前だと、ジャム&ルイスの曲がシングルにならないなんて考えられませんでしたが、正直な所、これらの楽曲は当時のシーンでチャートを上昇するポテンシャルは感じなかった。
 5th『Here I Stand』からも「Love In This Club」(2008)が1位。このアルバムにはジャム&ルイスの参加はなし。アッシャーも女性関係のゴシップも目立ち、ちょっと勢い落ちてきているのも感じました。
 しかし、続く2010年の6th
『Raymond v Raimond』がまた勢いあるCreativeなアルバム。ジャム&ルイスも再び起用されます。ここからはwill I amが手がけた「OMG」がまたまたメガヒットのNo1シングルとなる(サッカーSongだね)。アッシャーもEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)路線に走り、この曲でシーンもさらにEDM化した。これらの曲とジャム&ルイスの曲が同居できるのかと思いましたが、重要なアルバム1曲目をJam&Lewisの「Monstar」が飾る。アッシャーを題材にした曲のように思うし、ジャム&ルイス的EDMの趣もある。これまでジャム&ルイスが手がけたUsher作品で一番好きかも。Avil Brothersとの共同作業とはいえ他の2曲もいきがいい。50代のproducerが作る音とは思えなかった。この作品聞いて、今後のジャム&ルイスにも期待しちゃった。
 この後、アッシャーは2012年、2016年とアルバムを出していますがビックヒットにはなっていません。そして本年、2021年『Confessions 2』が出るという話。今回、ジャム&ルイスのアルバムでボーカルをとっているアッシャー、そのアルバムにジャム&ルイスの参加もあるかも。やはり毎回、アッシャーを手がけると聞くと期待感が高まる。
 この「Do It Yourself」もこれまでにないアッシャーとの楽曲。最初、キャッチャーさはちょっと薄かったけど、聞くごとにジワジワ味わいが増している。アッシャー、めちゃソウルだしうまいなって今更ながら思ってしまった。アッシャーの歌心もめちゃ感じる1曲。


 ⑩ Morris Day & Jerome Benton (The Time) 、The Roots  /  Babylove

 そしてアルバムのエンディングは、ジミーとテリーの原点のファンクバンド The Timeのフロントマン、モーリス・デイのボーカルで締める。

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 そしてモーリスに「What Time Is It?」という声かけで始まるお約束の絡みをみせるジェローム・ベントンも参加。さらにヒップホップバンドのザ・ルーツも参加し、バックトラックにからむ。打ち込み系が主流のヒップホップにあってバンドスタイルのザ・ルーツ。彼らの参加は意外。ただジャム&ルイスは、Favoriteバンドとして名前を挙げていた。
 本当なら、タイムの他のメンバー、ジェシー・ジョンソン、モンテ・モア、ジェリビーン・ジョンソンも集ってのタイムの復活も考えていたのかもしてないけど、そろわなかったため、バックの演奏をThe Rootsに依頼したのかもとか考えてしまった。ジェシーが参加するのが難しいみたい。あと、タイムが自分たちの原点(Roots)という部分で言葉の意味でもかけたのかもとか。クレジットの確認ができていないので、ルーツのフロントマンのブラック・ソートやビートの核であるクエストラブが参加しているかはよくわからない。Back Trackにルーツの「Section」が使われている感じ。

 The Timeは、プリンスが作り、プリンスのコントロール下で、1982年にスタートしたバンドでしたが、ジャム&ルイスがメンバーでもわかるように、プリンスの支配下の中で活動し続けるようなタレントたちではなかった。そういう流れで、プリンスと軋轢も生み、一旦、バラバラになります。が、しかし再度1991年に彼らをまとめたのはプリンスだった。っていうかプリンスがいなければタイムのリユニオンはなかった。

Pandemonium by Time (1990-06-28)

Pandemonium by Time (1990-06-28)

  • アーティスト: Time
  • 出版社/メーカー: Reprise
  • メディア: CD


 The Timeは、ビルボードのPOPチャートで1位を獲得したようなメジャーなバンドではない。R&Bではヒット曲はあるもPOPチャートでは10位にランクインした曲が1曲のみ。日本での知名度など尚更、プリンス絡みで通が好むバンド的な位置づけ。しかし、ジャム&ルイスを筆頭に各々が素晴らしい音楽を生み出している事や、やはりプリンスの後光もあり、近年、グラミーのステージにも呼ばれ、全員揃ってのパフォーマンスをみせたり、伝説のバンドとしての評価を高めているように思う。
 そしてザ・タイムは、2011年、再結成アルバムを発表した際、Original 7ven(オリジナルセブン)に改名している。過去記事でもふれましたが、改名は正しい表現ではないかもしれない。The Timeはプリンスよって作られProduceされたバンドだった。プリンスは、タイムのアルバムで楽器Playもし、バックボーカルにも加わった。そうなると、プリンス自身もタイムの8人目のメンバーじゃないのかって。そうするとプリンスがまったく関わらないバンドはタイムではない。2011年の再結成アルバムは、完全にプリンスが関わっていなかった。だからオリジナルセブンというバンド名にしたのではと思っている。オリジナルの7人ってプリンスにケンカ売ってる??(笑)
 このアルバムはすばらしい。それぞれがいかに素晴らしいPlayerかが感じれられる。

Condensate

Condensate

  • アーティスト: Original 7ven
  • 出版社/メーカー: Saguaro Road Records
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: CD

 ジミーとテリーも、このバンドでは自分たちは7分の1の存在になると述べている。そしてその7人をまとめるのがモーリス・デイなのである。

Daydreaming

Daydreaming

  • アーティスト: Day, Morris
  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

 ジャム&ルイスは1988年、モーリスのソロアルバムに、「Fishnet」というFunk / Dance曲とJazzy感もある「Love Ia A Game」というSlowも提供していますが、2曲とも見事にモーリスの空気感を表現している楽曲。「Fishnet」はR&B-1位となっている。
 そしてジミーたちが言うように、タイムはモーリスが中心のバンド。現在、1956年生まれの彼は64歳。そのモーリスのパフォーマンスを2019年の来日公演で感じることが出来たけど、モーリスは相変わらずクールだった。そして今作でも、ちょっと哀愁帯びた大人のクールなナンバーで、ジミーとテリーのアルバムのエンディングをしめる。
 ジミーとテリーにとっても自分たちのキャリアを語る上でプリンスなしで語れないという事も述べている。はたから見たら、これだけ才能があるのにプリンスの絶対的なスタンスに従い、タイムを解雇されたりしていて反感を持っていてもおかしくないのに、ジミーがプリンスの事を悪くいっているインタビュー記事は見たことがない。いつもプリンスのとてつもない才能と音楽に対する向き合い方を絶賛している。プリンスも、ジャム&ルイスのアルバムが発表され「やっと出したか」って天国で喜んでいるにちがいない。

 まだクレジット等確認できていない所での、アルバムの楽曲を聞いてのレビューですが、とても良いアルバム。ジャム&ルイスとして音楽シーンを牽引してきた彼らのリーダー作ですが、62歳のジミー、64歳のテリーが制作したアルバムに気負いはなかった。
 吉岡正晴さんの記事でもとりあげられていた彼らのインタビューで、「ホッテスト(最高に売れてる)プロデューサーと言われるより(息の長い)ワォーム(温かい)プロデューサーと呼ばれたいと思ってやってきた」「自分たちはミネアポリスのルーツを大事にしている」と。まさにこの言葉が実感できたアルバムだった。
 ジャム&ルイスが手がけた1992年の『Mo Money』を聞いたとき、音楽好きの友人にその興奮をすぐにTELせずにはいられなかった。それから29年経ったジャム&ルイスのリーダー作。自分の年齢もあり、大興奮して友人にTELしたくなるノリはないけど、いいアルバムだよ、聞いて損はないよって伝えたくなるアルバムだ。
 
 2021年に聞く事ができたジャム&ルイスのリーダー作、彼らの年齢もあってちょっと不安もありましたが、やはりジミーとテリーはすばらしい音楽家だと感じさせられるアルバムだった。オープニングに、サウンズ・オブ・ブラックネスのスピリチュアルな楽曲、そしてエンディングは自分たちのルーツの、The Timeのフロントマン、モーリス・デイで締める。そしてこのアルバムに集ったアーティストから、ジミーとテリーの思いも感じれた。そして何よりもすばらしい歌声を持つ素晴らしいアーティスト達の歌心満載のアルバムだとも思う。やはりジミーとテリーは真のプロデューサー、自分たち名義のアルバムだけど、あくまでも前に出るのは招いたアーティスト達のようにも思った。録音のボーカルバランスもすごくいい。そして、彼らも幾度となく述べているこれはVolume 1だよと。次も楽しみでならない。

JAM & LEWIS, VOLUME ONE

JAM & LEWIS, VOLUME ONE

  • アーティスト: JAM & LEWIS
  • 出版社/メーカー: ADA/BMG RIGHTS MANAGEMENT
  • 発売日: 2021/07/09
  • メディア: CD
 

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