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◆ The FINEST SOSバンド(86) Fade InのAlexander O'nealのVocalにもしびれる 名盤『SANDS OF TIME』も掘り下げる [TABU Records]

                                         ORiGINAL 2011.8.7 Up
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 ジャム&ルイスProduce、チャート1位 or 2位 獲得曲の紹介。再Upにつき時系列で、さらにより肉付けしてしています。今回は、Ths S.O.S.バンドの「The Finest」です。1986年5月にR&Bで2位(Hot100-44位)となります。パティ・ラベルとマイケル・マクドナルドの80’Sを代表するブラコン的ラブバラード「On My Own」に1位を阻まれます(オン・マイ・オウンはHOT-100でも1位)。チャートは2位ですが、チャート以上にこのCoolで心地いいこの曲はFloorでかなりうけたようです。
 前回まではジャネット・ジャクソンの『コントロール』からのシングルヒットを紹介していましたが、1986年のジャム&ルイス Produce作で『Control』とはまたちがった切り口で制作した傑作アルバムがSOSバンドのこの『Sands Of Time』なのです。

Sands of Time

Sands of Time

  • アーティスト: S.O.S. Band
  • 出版社/メーカー: Tabu Demon
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: CD

  SOSバンドとジャム&ルイスの関係は、これまでも取り上げたように切っても切れない重要なもの。
SOSバンドはアトランタ出身のボーカル&インストグループ。以前はこういう大所帯の黒人グループは多かった。テクノロジーの進化により、少人数でトラックを作る事を可能にし、徐々にこういう演奏もしていたグループは消えていく事になるのですが。
 

 SOSバンド、SOSはSounds Of Successの略。1980年のデビュー曲、ノリノリGrooveとCool & Emotionalな女性Vocal、メアリー・デイヴィスも魅力的な「Take Your Time」がHot100-3位、R&B-1位のビックヒットとなります。一気にSOSバンドの名前がシーンに拡がります。今回の記事では、Jam&LewisとSOSバンドの作品にしぼってとりあげたいと思います。 

3 (Bonus Tracks)
クリエーター情報なし
Tabu Demon

 Jam&Lewisが彼らと最初に関わったのは、1982年の3rd『Ⅲ』。ジャム&ルイスは、ミネアポリスの王・プリンスが作ったバンド:The Timeに所属しながらプロデュース活動も初めていました。まさに駆け出しのジャム&ルイスを起用したのがSOSバンドでした。彼らが手がけた清涼感Groove「High Hopes」はR&B-25位にチャートインします。ビックヒットではありませんが、チャートインした事にジャム&ルイスは自信をもったに違いない。そしてチャンスをくれたSOSバンドの面々とTABUレコードにも感謝したに違いない。

On the Rise
クリエーター情報なし
Tabu Demon

 そして、前にも紹介した1983年の「Just Be Good To Me」(R&B-2位)は、ジャム&ルイスのプロデューサー稼業の道を切り開いた重要曲。今作にもまだ実績もない未知数のジミーとテリーを起用した SOS Band。所属レーベルのTABU レコードの社長・クラレンス・エイヴォントの方針もあったと思う。彼らの代名詞にもなったドラムマシーンTR-808(ローランド)がSOUNDの要となっています。
 彼らの期待に応えるべく、ジミーたちはレコーディングに集中していたため(天候のせいとはいえ)、本業のタイムのライブに間に合わず、プリンスの怒りをかいタイムを脱退させられる事にもなります。彼らによってミネアポリスSOUNDが流出する事も快くは思っていなかったという話もあります。
 この曲が収録された『On The Rise』は、80’S前半のR&Bを代表する名盤だと思います。ジャムルイも、このアルバムでのA面での3曲で自分たちの方法論に確信を持ったといいます。「Just Be ---」も重要曲ですが、「Tell Me If You Still Care」(R&B-5位)もジャム&ルイスの代表曲。この切ないリリックとメロディーにかなり癒された。今でも色あせないと思う。彼らのライターとしての素晴らしさも感じる。この曲は、ヒップホップ世代にもサンプリングネタにされたり(Jam&Lewis自身もNelly&Janetの「Call On Me」で使用)、カバーもされている。タイムっぽいミネアポリスFunk感の「For Your Love」もシングルとなりR&B-34位。
 アルバムもR&B-7位(HOT-100で47位)となりゴールドディスクも獲得。このアルバムで、女性ボーカルのメアリー・デイヴィスをより前面に出すスタイルを提案したのもジャム&ルイスのようです。
 タイムを脱退し、退路を断たれた感もあるジャム&ルイスは本格的かつ精力的にProduce活動をします。続いて1985年の『Just The Way You Like It』でも、ジャム&ルイスは7曲中4曲をProduce。ここでもTR-808とシンセをベースにすばらしい曲が融合しています。

Just the Way You Like It
クリエーター情報なし
Tabu Demon

 このアルバムからはジャム&ルイスが手がけた3曲がカットされます。前作からの延長線上の曲です。「Just The Way You Like It」(R&B-6位)は「Just Be Good To Me」路線。「No One’s Gonna Love You」(R&B-15位)は、MAXWELLお気に入りの ”80年代初頭の生楽器とコンピュータの完璧なコンビネーション”がされている曲のひとつとしてあげている曲。(彼自身もシングル「Ascension」でRemixしています)

Ascension

Ascension

  • アーティスト: Maxwell
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1996/07/30
  • メディア: CD

「Weekend Girls」(R&B-40位)は「Tell Me If You ----」の続編的な曲。ビックヒットはしませんが、これらの曲の完成度は素晴らしい。
 
 そして、今回紹介する「The Finest」が収録された1986年の『Sands Of Time』は、ジャム&ルイスとSOSバンドが組んだ3部作の最後の作品となっていますが、まさにこの『サンズ・オブ・タイム』はSOSバンドとの集大成的なアルバムのように思います。9曲中7曲がJam&Lewis Produce作(1曲はリプライズなので実質8曲収録)。そしてシングルカットされた「The Finest」は見事にR&Bで2位を獲得。これもジャム&ルイスの代表曲にもあげたい名曲です。

Sands of Time

Sands of Time

  • アーティスト: Sos Band
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

 アルバム全体に統一感を感じます。真夏の夜をヒートダウンしてくれるようなCoolで洗練された音。1980年代後半のジャム&ルイスのTabuでのサウンドは、今では死語になりつつありますが、"お洒落な"サウンドでした。こんな洗練されたサウンドを生み出すCreaterは彼らしかいなかった。それは抜群の打ち込みセンスからくるものですが、加えて曲もいいんですよね。
 オープニングのメアリー・デイヴィスのCoolなイントロから始まります。シンセ・ベースもこの曲の隠し味。そして「ファイネスト」はゲストボーカルも素晴らしい。Tabuレーベルの同僚、アレクサンダー・オニールとシェレールが参加。Bridge部分で入ってくるアレックスのボーカルは、わずかではありますが、すばらしい存在感を見せます。私がアレキサンダー・オニールを最高のソウルシンガーと評している理由がこの箇所にあります。Coolなこの曲が、このアレックスのボーカルで一気にエモーショナルになり高まります。そしてシェレールとフライトタイムのセッションシンガー、リサ・キースのVocalが再びCool Downさせる。
 TABU Re-Bornプロジェクトの際、『Sands Of Time』も2枚組として再発されますが、ここに「The Finest」のEdit、Extended、Inst&Acappellaも収録されます。Extendedは6:39です。アカペラのイントロが加わり、終盤の演奏部分が少し延びただけな感じ。注目は、8:24のInst & アカペラバージョン。これ最初から合体してんですかね。インストとアカペラ分けた方がよいと思いました。前半がインスト的ですが、メアリーのボーカルは少し外され、アレックスのボーカルがすごくフューチャーされている。これが最大の魅力。フェイドインのアレックスのボーカルが単独で聞けるし、これまで聞いたことのないボーカル部分もあって最高でした。
 『Sands Of Time』は4曲シングルカットされていますが、このリボーンにはそれぞれのレアなExtendedやRemixがすべて収録されていてめちゃくちゃ買いです。
 アレクサンダー・オニールのバックボーカルでもう1曲、最高にしびれるのが、これまたTabu仲間のシェレールのR&BNo1ソング「Everything Miss At Home」でのボーカル。終盤、これまたソウルでエモーショナルなアレックスのボーカルが絶妙のタイミングで入ってきます。バックボーカルでここまで魅了されるシンガーもいない。(これもまた紹介します)
 
 グラミー賞の最優秀プロデューサー部門に、デヴィッド・フォスター、クインシー・ジョーンズの7回よりもさらに多い最多の11回のノミネートされているジャム&ルイスですが(2020年現在)、1986年度は、ジャム&ルイスが唯一グラミーの最優秀プロデューサーを受賞した年です。その要因として、ジャネットの『Control』とともにこのSOSバンド『Sands Of Time』の完成度の高さも評価されたに違いない。ジャネットのアルバムだけでもすごいクオリティーですが、このSOSバンドのアルバムも同時期に制作されていたのです。

 このアルバム、カテゴリー的にはR&Bでしょうが、メアリーのVocalも清涼感あるし、男性ボーカルのアブドゥル・ラウーフも黒人ぽさが薄くさわやかでR&Bの濃さを嫌う人にもなじめるCoolなアルバムだと思います。メインのメアリーのボーカルに合わせたような楽曲がそろっている。ちょいアルバムレビューです。

 ①  Even When You Sleep 

 意外な感じのCoolなオープニング曲。メアリーのボーカルの質感とも抜群にFit。アルバム全体のカラーも表現しているように思います。このアルバムからは4枚シングルカットされますが、3rdシングルで、R&B-34位。

 ②  Sands Of Time

 ジャム&ルイス的、SOSバンドの透明感バラード3部作「Tell Me If You Still Care」「Weekend Giral」の締め。アブドゥル・ラウーフのボーカルもいい。このジャム&ルイスが得意とする透明感バラードとして、ヒューマン・リーグのNo1シングル「Human」。ニューエディションの「Can You Stand The Rain」。最近ではボーイズⅡメンの「4Seasons Of Loneliness」。この感じが出せるのはジャム&ルイスならでは。この曲、なんでシングルカットしなかったのかな?すごくよいバラードなのに。

 ③  Borrowed Love

 これもジャム&ルイス的、SOSバンドのファンクグルーブ3部作「Just To Be Good To Me」「Just The Way You Like It」の系統。TR-808グルーブです。アルバムからの2ndシングル。R&B-14位。

 ④ Nothing But The Best

 このクールな無機質感も好き。メアリーとのボーカルの相性も抜群。あらためて思うのが、TimbalandのチキチキBeatがちょっと入ってない?。時代の先を行きすぎだろ。

 ⑤ The Finest

 アルバムのハイライト曲。そして80'SのDiscoも賑わせた曲のようです。この曲はスタンダードですね。このFinestの演奏映像がありますが、アレクサンダー・オニールの所で、キーボード兼男性ボーカルのアブドゥル・ラウーフが前に出て(口パク)で歌う。何も知らない人が見たら、ラウーフが歌ってると思いそう。でもこの部分、自分に歌わせてもらえなかったのは不満とかなかったのかな。アレックスの歌声を聞いて、きっと納得したと思いたい。

 ⑥ No Lies

 疾走感グルーブ。4thシングル、Jam&Lewis作としてもテンポ速め。Floorでも人気曲みたい。R&B-43位。

 ⑦ Two Time Lover 

 残りの2曲は、SOSバンドのProduce。グループ自身のプロデュース曲ですが、アルバム全体のカラーを崩していなくて、ヨーロピアンテイストのこの曲もジャム&ルイスのProduce曲のよう。

 
 ⑧ Do You Still Want To

 インストルメントバンドのベースの安定さも感じる。メアリーのボーカルもいい。そして「サンズ・オブ・タイム」のリプライズでアルバムは終幕します。


 この後、SOSバンドからJam&Lewisは離れます。メアリー・デイヴィスもグループを脱退し、1988年、2枚目のソロ作『Separate Ways』を発表。

Separate Ways

Separate Ways

  • アーティスト: Davis, Mary
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1990/02/09
  • メディア: CD

 当初、このアルバムにはJam&Lewisも参加するという情報がありましたが実現せず。しかし、ノリノリのLA&BABYFACEが1曲参加。彼らが手がけた「Don't Wear It Out」(楽曲的にはイマイチ)がR&B19位となっています。(他LAFACEは2曲に関わる)。もしジャム&ルイスも参加して、これまでのSOSバンドでの素晴らしい楽曲を制作していたら、このアルバムすごい名盤になっていたかもしれないよな。
 Jam&Lewisとメアリーが離れたSOSバンドは勢いがなくなります。その後、メアリーは再びグループにもどります。来日公演もあり、そこでも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたようです。セットリストとしてSOSバンドのヒット曲が披露されると思いますが、必然的にJam&Lewis WORKSにもなって最高な感じ。
 『On The Rise』と『Just The Way You Like It 』は入手困難なアルバムでしたが、TABU Re-Bornの企画で再発されました。かつてはレアな作品で、数万の値がついたこともありましたが、今は安価で購入できる。さらにレアなExtendedやリミックスバージョンも収録されていてうれしすぎる。まずはヒット曲のみ聞きたいという事でしたらベスト盤がお勧めです。SOSバンドのベスト盤ですが、Jam&Lewisが手がけた主要曲がほぼ収録されています。
神がかっている80'Sのジャム&ルイスのベスト盤ともいえるSOSバンドとの曲は必聴です。

Best of

Best of

  • 出版社/メーカー: Universal Int'l
  • 発売日: 2004/02/24
  • メディア: CD
The Very Best of S.O.S. Band by The S.O.S. Band (2013-05-03)

The Very Best of S.O.S. Band by The S.O.S. Band (2013-05-03)

  • アーティスト: The S.O.S. Band
  • 出版社/メーカー: Music Club Deluxe
  • 発売日: 2013/05/03
  • メディア: CD
Greatest Hits

Greatest Hits

  • アーティスト: SOS Band
  • 出版社/メーカー: Virgin Records Us
  • 発売日: 2004/08/24
  • メディア: CD

コメント(2) 
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コメント 2

hiroo

こんにちは
さすがです。ここまでSOSバンドの詳細を記事にされて・・・永遠にログを残してほしいです。
本当にいつの時代にも輝き続けるサウンドですよね。
アルバムトータル感でいえばSands of timeですがその後の2枚もクオリティが高過ぎです。Tabuでも別格の3部作かと。
たしかCDは高値でしたですね。再発されて、えっ事件じゃないか~って思いました(笑)
by hiroo (2023-10-04 12:19) 

amber35

こちらでのコメントもありがとうございます。

Tabu レーベル、SOSバンドのすばらしさをわかってる方に出会えてうれしいどす。

お互いもりあげていきましょう~。
by amber35 (2023-10-05 19:51) 

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