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◆ Saturday Love / Alexander O'neal & Cherrelle (1985) アレックス、シェレール Jam&Lewis制作の大人のCoolな Love Song [TABU Records]

                                                               ORIGINAL 2011.5.27 Upに加筆
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 マニアックなJam&Lewisのチャート2位獲得曲の紹介です。今回は、1985年作のアレキサンダー・オニールとシェレールによる「Saturday Love」です。80年代のブラコン(ブラックコンテンポラリー)を代表する1曲だと思います。(賛同して頂ける方も多いはず)プロデューサーとしてのジャム&ルイスのPOPチャートでの大ブレイクは86年ですが、それまでにもクオリティーの高い作品を送り出しているのです。この「Saturday Love」も彼らを語る上で外せない1曲。

 そんなジャム&ルイスの才能にいちはやく目をつけたのが、TABUレコード(1980年にクラレンス・エイヴォントによってCBSの傘下に設立)です。決してメジャーなビックレーベルではありませんが、非常に質の高い作品をシーンに供給していたR&Bレーベルでした。
 クラレンスは、所属アーティストのProduceをジャム&ルイスに委ね、彼らはこのレーベルの専属プロデューサーのようでもありました。まず1983年、前回紹介したSOSバンドの「Just Be Good To Me」がR&B-2位となり、ここからジャム&ルイスの躍進が始まります。このTABUには、他にも男性ボーカリストのアレキサンダー・オニール、女性ボーカリストのシェレール等が所属。ジャム&ルイスは、ミュージシャンでありProducerですが自らボーカルはとれません。そんな彼らを代弁するかのような素晴らしいシンガーが、アレックスであり、シェレールでした。 

 ジャム&ルイスは、アーティストとじっくりと話し合い、そのアーティストの魅力を引き出す楽曲、プロダクションを組みます。アーティストもプロデューサーを信頼しなければ、心を開いて、自分の内面をさらけ出すことはできない。そこがジミーとテリーの人間力の素晴らしさ、そしてそこがそこら辺のプロデューサーの追随をゆるさないところだと思います。
 アレックスにしてもシェレールの作品ももちろん彼らのパーソナリティーを引き出してはいますが、加えてジミーとテリーたち自ら表現したいものもぶつけている印象を受けます。その辺の相性的なものも抜群なのだと思います。
 そして2人のDUO SONGは素晴らしい。この後も、2人が共演した曲がヒットしますが、この「Saturday Love」は最初のヒット曲となります。アレキサンダー、シェレール、それぞれのソロのボーカルは素晴らしいですが、さらにDuoでまた新たな魅力が生み出されます。ジミーとテリーも、マーヴィン・ゲイと彼のDUOパートナーとしてブレイクしたタミー・テレルをイメージした。

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 R&Bシンガーの、アレキサンダー・オニールは、ミネアポリス時代、ジャム&ルイスと同じバンドに所属していた仲間でした。アレックスは、ミネアポリスでは有名なシンガーで、あのプリンスもその歌声にほれこんだ。プリンスは、アレックスを自分のイメージしたバンドのリードボーカリストとして迎え入れようとしますが、アレックスは、メジャーデビューの機会より、アーティストとしてのCreativeな面とギャランティーでプリンスにコントロールされるのを感じ、プリンスの誘いを断ったという有名なエピソードがあります。
 結局、アレックスに代わりにモーリス・デイを中心においてThe Timeがデビューする事になります。アレックスも、デビューのチャンスを逃し後悔した時期もあったかもしれませんが、後に同様にプリンスから離れた(バンドを解雇された)Jam&Lewisと再会しこのTABUレコードでデビューする機会を得るのです。

 この頃のアレックスのボーカルは最高です。やはり若い頃の声と40代ではボーカルは違う。マイケル・ジャクソンをはじめ素晴らしいボーカリストにいえますが、若い頃のボーカルの伸びは素晴らしい。(やっぱ声も老化すると思う)アレックスのボーカルは、もちろんソウルなんですが、さらにオペラ歌手のようなスタイルも感じるのです。当時のR&B男性ボーカルは、ルーサー・ヴァンドロスやフレディー・ジャクソンがヒットを連発していましたが、彼らはとてもソウルだけど、そこにとどまる。いろいろなソウルシンガーを聞いていますが、オペラ歌手のような感触を感じたのはアレクサンダー・オニールくらい。3年前(2008年)のビルボードの来日では、憧れのアレックスのボーカルを30cm前で聞く幸運に恵まれました。あれは本当にかなり感動した。
 
 そしてシェレールです。彼女も素晴らしいシンガーだと思います。これまたアレックスの来日時に生シェレールも見ましたがすごく小柄で意外だった。でもすごい歌唱力。彼女は、ある意味くせがないボーカル。ゴスペルで鍛えた黒人アーティストってちょっとそのTasteを感じて、それが強いと(個人的には)苦手なとこもあるのですが、彼女はその癖もなく、ある意味淡白といえば淡白かもしれないのですが、いい感じなのです。
 シェレールは、1956年ロスに生まれます。歌う事が大好きな少女だったそうですが、自分歌手になれるとは思ってなかったそうです。20歳になり、彼女はデトロイトに移り、普通のOLをしていましたが、ここでも暇があれば歌っていたといいいます。そんな彼女の自宅の隣に、ミュージシャン兼プロデューサーのマイケル・ヘンダーソンが住んでおり、この出会いが転機となります。親しくなり、才能を認められた彼女は、スタジオに招かれたりしていきました。そして、彼のもとで彼女はバックコーラス、ツアーなどに参加し、技量をみがいていくのです。ここで自信をつけた彼女は、自らデモ・テープをつくったりして、レコード会社に自分をうりこんでいきます。そんな中、ついに新進レコード会社のTABUレコードの目にとまり契約となるのです。そして、シェレールのプロデュースを任されたのが、S.O.Sバンドのヒットなどで新進プロデューサーとして名を高めつつあったジャム&ルイスだったのです。ジャム&ルイスは、TABUでシェレールと3作品作り上げています。3作品ともほぼフルプロデュースです。
 
ジャム&ルイスが、ジャネットとやるとき、シェレールほどのボーカル力を求める楽曲は制作していない。しかし、シェレールの時は、遠慮なしで自分たちの楽曲をぶつけている感じです。ですからシェレール名義ではなく、ジャム&ルイス・フューチャリング シェレールでもいい感じ。
 そして彼女のデビューアルバム『Fragile』(1984)です。Extended等を収録したものが再発されています。


フラジャイル+5

フラジャイル+5

  • アーティスト: シェレール
  • 出版社/メーカー: SOLID/TABU
  • 発売日: 2013/08/21
  • メディア: CD


 正直なところ、まだJam&Lewisの神ががり的なWORKが全開ではありませんが、デビュー曲となった「I Didn’t Mean Turn You On」の出来は素晴らしい。R&B8位(Hot100-79位)というヒットを生みます。この曲は、リアルタイムには知りませんでした。私もそうですが、一般的に有名になったのは1986年、全米2位になったロバート・パーマーの「ターン・ユー・オン」ででした。(こちらはChicのバーナード・エドワーズがProduce)

Riptide

Riptide

  • アーティスト: Palmer, Robert
  • 出版社/メーカー: Mca Special Products
  • 発売日: 1990/06/15
  • メディア: CD

 2001年にも80's Tasteもテーマにしたサントラ『Glitter』でJam&Lewis Produceでマライア・キャリーもカバーしていますが、おもしろいのはTrackを1984年当時のものにしているとこです。それがまたCool!

グリッター

グリッター

  • アーティスト: マライア・キャリー
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 2001/08/18
  • メディア: CD

 そして1985年、2ndアルバム『High Priority』を発表。このアルバムは、翌年発表されるジャネット・ジャクソンの『コントロール』の布石のような作品です。『Control』で使用されている効果音や、リンドラムによる硬質なビートもちりばめられている。

High Priority

High Priority

  • アーティスト: Cherrelle
  • 出版社/メーカー: Virgin Records Us
  • 発売日: 2003/01/28
  • メディア: CD

 『コントロール』にはないTasteとしてこのアレックスとの大人のデュオソング「Saturday Love」があります。この曲は見事にR&B2位(Hot100-26位)のヒットとなります。そして、アレキサンダー・オニールというソウルシンガーの実力をシーンに知らしめることにもなります。
 アルバムでは、イントロからドラマのような男女のトークで始まります。アレックスってけっこう俳優の才能あるんちゃうんって思ってしまう。80年代的なバブリーな感じもする曲ですが、ジャム&ルイスの楽曲ってドラマ性があります。そこもジャム&ルイスの魅力です。
 洗練されたバックトラックです。無駄な音がありません。ですからより2人のボーカルがはえる。ジャム&ルイスはテクノロジーを駆使するサウンド重視のプロデューサーのイメージが強いかもしれませんが、実はあくまでも曲ありき。まずアコースティックな生の楽器で曲を表現し、そこにテクノロジーによる肉付けをしていく。あくまでもシンプルに。ジャム&ルイスの強みは、ミュージシャン魂があるのに加えて、テクノロジーのアプローチセンスが抜群なとこ。Saturday Love」のような都会的な洗練された大人のLove Songって最近ないよなー。85年産ですけど全然いい。
 Saturday Loveは8:43にも及ぶExtended バージョンと、アカペラバージョンもあります。Extendedはけっこうレアでしたが、再発盤やコンピ盤等に収録されています。アカペラは『Alexander 0'neal Remix Album』というというレアなアルバムに収録されています。



 この曲自体も、アレックスのカバーアルバム『Alex Loves』でもセルフカバーされています。相手はもちシェレール!クワイエットストーム的なアレンジです。やっぱオリジナルバージョンが最高。

アレックス・ラヴァーズ…
クリエーター情報なし
エイベックス・エンタテインメント

 この後、アレックスとシェレールの共演はTABUレコードで続き、ヒットもします。その素晴らしい作品はまた次回。

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