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◆ The Time LIVE初体感!30年以上前のスタイルが新しい。そしてそこに感じるプリンスとモーリスの友情。 [The Time]

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 THE TIME、81年にデビューしたFUNKバンド。同年代にヒットしていた黒人バンドのクール&ザ・ギャングやアースウィンド&ファイアーらと比較するとぜんぜんメジャーではないと思う。全米1位を出したわけでもなく、全盛期の80年代に、HOT-100ではTOP10に入った楽曲もない(R&Bは2位まであがる楽曲はあり)。通好みのバンド的な感じなのかも。
 しかし、40年近く経た今でもこうしてエネルギッシュなLIVEパフォーマンスを披露している、独特の振り付けとDANCEも一歩間違えたらダサダサになりかねないのに、1週どころか2週、3週まわって超COOL。そしてタイムは、CDで聞くのではなく生でLIVEで感じてこそのタイムだった。
 一般的にはメジャーではないザ・タイムが、2008年にグラミーのステージで全員そろってパフォーマンスもした、2017年のプリンス追悼のステージでブルーノ・マーズと共演したりもして、いまだに注目されるのは、タイムを作ったのがあのプリンスだからだと思う。プリンスの後光なくしてヒットしたかはわからない。
 Discographyでも紹介しましたが、プリンスは、自身のソロ作と平行してその溢れんばかりのCreative Mindを解放すべく、自身の覆面バンド的なタイムを作ります。
 当時、ミネアポリスで名を馳せていたFlyty Tyme(フライトタイム)をスカウトし、メジャーデビューをえさ(←表現悪い??)に彼らを自分のコントロール下におくのです。


 タイムは皮肉な運命を背負っていたように思います。プリンスがタイムについて言及している言葉があります。 「自分が脅威を感じたバンドはタイムだけだ。奴らはゴジラのようにどんどんデカくなっていった」と。ここで思うのが、自分が作ったバンドなのだからそれが売れていったら喜ぶべきというか、喜ぶはずなのですが、ここでプリンスの口から出てくるのは”驚異”という言葉なんですよね。この言葉にプリンスとタイムの関係性が見れると思います。そしてタイムが、プリンスの望むお飾りミュージシャンによるお飾りバンドだったらよかったのですが、メンバーの一人ひとりがとてつもない実力を持っていたという皮肉。
 過去記事でも書きましたし、この後もメンバーのWORKSを再Upしていくつもりですが、最筆頭のジミー・ジャム(Keybord)とテリー・ルイス(Bass)はジャム&ルイスとして、86年のジャネット・ジャクソンのProduceで大ブレイク、グラミーの最優秀プロデューサーも受賞し、この後、2001年までにビルボードNo1を16曲も生み出すProducerとなります。(実績としてはプリンスのはるか上にいる)
 そして、ギターのジェシー・ジョンソン。ソロアーティストとしてもヒットしエッジの効いたFUNK サウンドのProducerとしても活躍。
 ジェリビーン・ジョンソン(Drums)は91年、同郷のMint Conditionのデビュー作をProduceしたり、ProduceしたJanetの「Black Cat」はNo1シングルになる。彼はキーボード、ギターもできる。
 モンテ・モイア(最近モアっていわないのね)も、タイムを離れたあとジャム&ルイスのプロダクションに所属し活動をともにした、素晴らしいライターでありプロデュース作品を残す。
 おまけとして、ムードメイカーのジェローム・ベントン。プリンス主演第3作品の『Under The Cherry Moon』でも魅力ある演技を見せていたようにタイムの盛り上げ担当。ステージ上で、モーリスに鏡を差し出すお約束のミラーパフォーマンスで客をわかせる、実は踊りも相当うまい。
 そしてタイムのイメージを担うのがボーカルのモーリス・デイ。ソロとしてもR&B-No1シングルももつ。ジミー・ジャムもタイムはモーリスのバンドと述べている。そう、彼らはお飾りバンドとして収まる器ではなかったのです。

 そうしてプリンスの望まない、意図しないような行動を起こしたものは、バンドから脱退させられたり、プリンスと衝突し去っていくという。それでもまたプリンスの元に集う不思議さ。やはりそこがプリンスの魅力と才能と凄さなんだと思う。ジミー・ジャムのインタビュー記事はこれまでも数多く見てるけど、彼の口からプリンスを非難する言葉は聞いたことがない。

 さて前置きが長くなりましたが、LIVEの感想です。ビルボードライブ大阪(2019.6.25)の1stに行きました(一人で!)私が購入したTIMEの最初のアルバムは91年の『Pandemonuim』でした。85年からプリンス、86年からジャム&ルイスWORKSを追ってきた私ですが、当時、THE TIMEにはそこまで興味がいかなかった。当時、タイムの曲を何かしらの形で数曲は聞いたことはあったけど、入れ込めなかったので特にアルバムも購入していなかった。
 しかし91年、いやが上にも盛り上がるタイムの再結成でのアルバム『Pandemonuim』を購入。ジャム&ルイスFreakの私ですが、『パンデモニアム』にジャム&ルイスにカラーは薄い。ジミー・ジャムも、タイムでは自分たちは7分の2に過ぎないと言っているとおりだった。そしてそこで初めて80年代のThe Timeのアルバム3枚を購入したのです。
 で聞いた感想、ドラムは打ち込み感が強くて、グルーブもうすい曲もある。これってほんとバンドの音なの?って思った。
 
 しかし、ビデオでみた”1999”ツアーで、プリンスの前座をつとめるタイムのLIVEパフォーマンスは、CDで感じるグルーブ感とぜんぜんちがって驚いた。これがまさにミネアポリスFUNKかと。ジャム&ルイスのサウンドもミネアポリスFUNKと呼ばれた。プリンスももちろんそう。そしてこのTIME。何が違うのかと考えた時、タイムのサウンドはGroove重視のように感じた。いってみれば楽曲のキャッチーさはうすい。ジャム&ルイスの場合は、このFUNKグルーブ加えて、かなりの楽曲の良さが加わる。タイムの曲は、メロディアスな起伏は少なく、ループ系のFUNK。そこはプリンスも意識してたのではないかと。そこにトランス的な陶酔感も加わりノレルという。
 そして今回、生タイムのパフォーマンスを目の前で見てその感触を思いっきり感じた。

 そしてドラマーのジェリビーン・ジョンソンが、ある意味タイムFUNKの司令塔にもなっているのも感じた。一般的には、ビジュアル面でいうとフロントマンのモーリスのCOOLでおちゃらけたスタイルとド派手なギタープレイとプリンスにも似た風貌のジェシー・ジョンソンがタイムのイメージを担っていた。それは、ジャム&ルイス、モンテが抜けオリジナルメンバーではないタイムの3rdが最大のヒットをしたという結果にもみえる。しかし、そこでもしっかりジェリビーンはドラムを叩いているし、タイムの後のFamilyでもドラムを担っている。だからサウンド的にはジェリビーンがいればタイムのFUNKは成立する事を感じた。
 「777-9311」は、リズムアレンジをしたプリンスのスゴさも感じるわけですが、ドラムがしっかりリズムを刻まないと演奏にならない。さらにギターも重要なんだけど。この曲、はじめて聞いたっぽい近くの女性、これまでとれていたリズムがとれなくなってたもん。あらためてこの曲好きになった。
 でも彼って、キーボードもできるし、ギターの腕も相当。89年に手がけたマイケル・ジェフリーズのアルバムではトラックもすべて彼が作っていた。すごいよな。
 
 モンテに関しては、キーボードPlayをどう分けているかはよくわからなかったけど、当時もジミー・ジャムとキーボードを担当していたように、タイムのサウンドにシンセが生み出すグルーブも不可欠。彼はライターとしてもタイムにかなり貢献しているように思う。終盤の、「Sometimes I Get Lonley」から「Gigolos Get Lonely Too」へと続くセクシーで哀愁あるバラードはモンテのカラーのように思う。 「Sometime---」はかなり好きだったのでもう少ししてほしかったけど、空気感が似てる「ジゴロ」が満喫できたので良しとする。
 
 最後にモーリス。だいたい昔から年齢より上に見られたタイプじゃないのかな。ぜんぜん今でも現役感。でも80年代のTIMEのパフォーマンスではやっぱキレがあった。当時からしている、「Cool」での手の指を掴むようなパフォーマンスや、Walkでの鳥のようなユラユラした動きとかシンプルなんだけど、いかす。40年近く同じ事をしてるんだと思うよ。モーリスは、「おれってクールだろ」って言うのがいいよな~。気取ってなくて愛されるキャラなのも感じた。「おおさか~」を連発してたな。下ネタ系のトークに関しては英語力がないのでよくわからなかったわ。あの雄叫びも聞けてうれしかった。
 個人的には、Jam&Lewis Produceのモーリスのソロ「Fishnet」はもうちょっと長く聞きたかった。やっぱリアルタイムに聞いた『パンデモニアム』の愛着も強いので「パンデモニアム」でも「Go モーリス!」をもうちょっと連呼したかった。
 タイム唯一のR&B-No1シングル、TOP10シングルの「Jerk Out」ももう少し聞きたかった。アンコール曲は、『パープルレイン』でも演奏された「ジャングルラブ」でしめる。ファーストアベニューで披露されたステージの再現を思わせる。定番の「オイオイオ」で最後まで盛り上がる。半自叙伝的映画『パープルレイン』の成功は、実在したバンドのこのTimeが映画に登場した事にもあると思う。『パープルレイン』久々に見たくなった。
 
 2011年にタイムのメンバーが全員揃った再結成アルバム『Condensate』が発表されますが、そのアルバムのバンド名はThe Timeではなく、The ORIGINAL 7VEN(オリジナルセブン)と改名されていた。そしてこのアルバムにプリンスの関与はまったくなかったものと思われます。まさにそれはプリンスからの独立宣言でもあったように感じた。
 しかし、今回モーリスは、The Timeとして来日。そして彼がセレクトした曲は、プリンスとともに作り上げた80年代のスタイルでした。途中、幼馴染でもあったモーリスとプリンスのプライベートショット的な写真が写され、「パープルレイン」が流れる。当時は、プリンスとモーリスの関係性は対等ではないように思っていたけど、今回のパフォーマンスでそこに確かな友情とリスペクトが今もなお続いているのを感じた。

 本物は普遍なんだということを体感した。タイムのオリジナルメンバーが全員集っているわけではない。けどとてもすばらしいLIVEだった。けど、これにジェシー・ジョンソンが入ったら「Blondie」のエッジの効いたド派手なギターFUNK曲も入ってくるだろうし、テリー・ルイスのベースも超Nastyなんだろうし、タイムではミュージシャンに戻って演奏できるのが最高だと言うジミー・ジャムのキーボードPlayもさらにFunkyに違いない。
 
 でもあれだよね。1999ツアーの時、The Timeがオープニングアクトで、今回のようなパフォーマンスをして、さらに次にPrinceが控えてるってどんだけ~って感じ。 
 7年前のBlog記事に、タイムのライブをビルボードのような規模の場所で見れたら最高だろうなって書いたけど、それが叶ってほんと幸せ。今回フルメンバーではなかったけど、実力あるミュージシャンがオリジナルメンバーのグルーブをしっかりと受け継いでいたのも感じた。ありがとうThe Time、そしてPrince。
  
 ★ Set List (吉岡正晴氏とKidさんの記事を参照させて頂きました) ★

01. Intro [1999]
02. Get It Up  ( R&B6位(From 『The TIME』 '81
03. Cool           (R&B-7位/POP-90位 From『The TIME』)'81
04. Pandemonium   From 『Pandemonium』’90
05. Chocolate   (R&B44位 From 『Pandemonium』’90
06. Wild & Loose  (From『What Time Is It?』'82
07. The Stick   (R&B-49位 From 『The TIME』)'81
08. Fishnet     (R&B-1位 POP-23位 From Morris Day 『Daydreaming』'88

09. The Oak Tree  (R&B-3位)    From Morris Day 『Color Of Success』'85
10. Jerk Out  (R&B1位/POP-9位  From 『Pandemonium』’90
11. 777-9311  (R&B-2位/POP-88位)From 『The TIME』)'81
12. (Video) Purple Rain
13. Sometimes I Get Lonely(From 『Pandemonium』)'90
                                    - Gigolos Get Lonely Too From 『The TIME』)'81 

14. The Walk   (R&B-24位) From 『The TIME』)'81
15. DMSR(Prince) - The Bird (R&B‐33位/POP-36位)From 『Ice Cream Castle』)'84
16. Tricky (アルバム未収録)
17. Enc. Jungle Love (R&B‐6位/POP-100-20位)From 『Ice Cream Castle』)'84

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